昭和のギター曲集 -10-



ちょっと間が空いたが、かつて親しんだ昭和のギター曲集をたどる記事の続き。きょう取り出したのはこれ。


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ジュリアーニの英雄ソナタ 作品150
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音楽春秋社1971年発行の石塚正衛編「ギター名曲全集」。裏表紙には例によって当時のぼくの筆跡で1974年5月購入と記されている。大学に入った直後ということになる。

楽譜と言わず何と言わず、この頃の出版物には「世界〇〇」やら「〇〇全集」と標榜するものが多かった記憶がある。この曲集のタイトルにも、どこかそんな時代の気負いが感じられて懐かしい。副題に「フレスコバルディからリョベートまで」と記されている通り、バロックから古典、スペイン近代まで、いわゆるギター名曲と称されるお馴染みの曲が並んでいる。フレスコバルディ:アリアと変奏。ガスパール・サンス:フォリア、パッサカリア。ジュリアーニ:ミルテの花、英雄ソナタ。メルツ:フィンガルの洞窟、ハンガリア幻想曲。ディアベリ:ソナタ第1番、ソル:グランドソロ、魔笛バリエーション。アルベニス:セビリア、カディス。グラナドス:スペイン舞曲第5番、ゴヤのマヤ、リョベート:ロマンス、アメリアの遺言、レール―リーラ―…といった具合だ。巻末に出ている当時の関連曲集の中では上級者向けという位置付けになっている。

そんなお馴染みの曲が並ぶ中、当時のぼくがこの曲集で初めて触れたのがマウロ・ジュリアーニ( 1781-1829)の「英雄ソナタ」作品150だった。単楽章ながら、クラシカルな素養を身に着け、当時のウィーンで人気を博したジュリアーニらしい古典様式にのっとったソナタ作品。そのタイトルに恥じない堂々としたアレグロ・マエストーソで始まる。
主部に入るとジュリアーニらしい技巧的なフレーズが続くが、意外に素直なスケールなので超絶技巧というほどではなく、<自称>中上級クラスなら何とか弾き通せるレベルだ。少なくてもぼくには同じジュリアーニによく出てくる高速のアルペジオやオクターブ跳躍のスケールよりはずっと弾きやすい。更にこの曲を好む理由は、単純なスケールを繰り返しながらも、しばしば大胆な転調を伴う経過句がいくつかあって飽きずに弾けるからだ。 ギター音楽に限らず、広く古典期のクラシックに慣れ親しんでいる輩ならよく耳にする転調で、ギターでもクラシカルな響きが楽しめる好適なサンプル。ジュリアーニの曲はフエルナンド・ソルのようなポリフォニクで豊かな和声をもつ曲想とは芸風が異なるが、弾いていて思わずわくわくする疾走感と明るさに満ちたていて捨てがたい。

楽譜はこちら ⇒ http://maurogiuliani.free.fr/partitions/Op%20150%20Gran%20Sonata%20Eroica.pdf


アナ・ヴィドヴィッチの兄ヴィクター・ヴィドヴィッチによる英雄ソナタ。


ミゲル・リョベートがカタロニア民謡からアレンジした「アメリアの遺言」
ギター弾きにはお馴染みに曲だが、ぼくら世代なら「シャボン玉ホリデー」の「おとっつぁん、おかゆが出来たよ…」のBGMと言えば思い出してもらえるだろうか。



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こういう◯◯全集みたいなの(特に古い物)などは、編曲者名が無いものが多くて、そこが少し気になります。

Re: タイトルなし

おっしゃる通りですね。特に私世代が慣れ親しんだ70年代前後のものは粗製乱造の感も免れず、版権もあやしい、編曲もあやしいというものがしばしばありました。もっともクラシックギター界もまだ成熟しておらず、ともかく一人前の楽器として認知させたいという強い志の現れと言えなくもなく、一方的に非難もしかねるところです。

いやいや、私は当時の出版を非難するつもりはありません。当時のギター楽譜出版業界は与太さんのおっしゃる通りの気概あるものだったと思いますし。ただ、近年はコンサートのプログラムには編曲者/採譜者名を明記することが求められる時代なので、こういう楽譜集から曲を演奏しようとする時、ちょっと気を使うなぁ、というこちら側の問題をつぶやいただけです。(^^;)

Re: タイトルなし

つまり弾き手側の意識も重要ということですよね。曲の選択と同時に、その曲の編曲や校訂、運指が誰の手によって行われたか、弾き手も意識して選択する。そしてその意図を反映するような演奏を心掛ける…ということですね。
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マエストロ・与太

Author:マエストロ・与太
音楽とクラシックギターに目覚めて幾年月。道楽人生成れの果てのお粗末。

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