シューベルト交響曲第4番ハ短調<悲劇的>
引き続きベーム・ボックスセットの検分。今夜はシューベルトを取り出した。

聴いているのはシューベルトの第4交響曲ハ短調。
第1楽章4分の3拍子アダージョ・モルトの序奏。冒頭のトゥッティがティンパニの強打を伴って堂々と響き、同時にフェルマータ付きの付点二分音符が思いのほか長く引き延ばされる。古典から初期ロマン派へのピリオドスタイルの浸透で、大編成によるこんな堂々としたトゥッティの響きは今では中々聴けないかもしれない。主部に入るとシューベルトらしい豊かな楽想があふれる。展開部こそごく短い簡素なものだが、メロディー、和声、リズム、いずれも素晴らしく、飽きさせない。ハ短調の調性とシューベルト自身が付けた<悲劇的>というタイトルからも分かるように、多分にベートーヴェンの交響曲を意識させるが、やはり展開力で聴かせるベートーヴェンの個性とは異なる。第2楽章のモチーフは4つの即興曲と酷似している。いかにもシューベルトという穏やかな美しさに満ちる。第3楽章はメヌエットの指定だが、アクセントの移動、半音階フレーズなどスケルツォ風に進む。トリオをはさんで簡素な構成ながら耳に残る楽章だ。終楽章もソナタ形式をとり、冒頭はハ短調主題が提示されるが、その後曲想は明るみを帯び、疾走のうちに曲を閉じる。ベーム・ベルリンフィルの演奏はその名前から想像する通りの堂々たる恰幅の良さと安定感。テンポはやや遅めながら弛緩を感じさせない。もちろん昨今のピリオドアプローチとは世界が異なるが、これはこれで一時代を成した演奏だ。
ところでこのベームのボックスセット。すでに何度か書いたように、モーツァルト・ベートーヴェン・シューベルト・ブラームスの交響曲全曲が22枚のCDに収まっている。モーツァルトとシューベルトがベルリンフィルとの60年代録音(シューベルトは半分はベルリンフィルとの70年代録音)。ベートーヴェンとブラームスがウィーンフィルとの70年代録音。これから独墺系の交響曲を集めようか、あるいはモーツァルトやシューベルトも全曲揃えたい、などという輩には打ってつけのセットだ。ぼくが少し前に買ったときにはアマゾンで6000円でおつりがくる程度の値段だった。独墺系交響曲ということでは、残るハイドン、シューマン、マーラー、ブルックナーを加えればひと通り網羅される。ハイドンも全曲手元におきたい。投資額抑制の観点から選ぶとA・フィッシャー盤か、まだ出回っているラッセル・デイヴィス盤が有力。シューマンは4曲なのでセル、クーベリック、サヴァリッシュ、スウィトナー盤あたりの2枚組で済む。マーラーはバーンスタインの旧全集かラトル&バーミンガム市響とのセットがいずれも3千円前後。ブルックナーはヨッフムかヴァントの全曲セットが適当か。いずれにしても2万円とかからずに独墺系交響曲の王道が全曲完備するという状況は、少し前までは考えられなかったものだ。
CDの値段を決める要素のうち、物理的な原材料費はごく僅かだ。それも項目別に考えると印刷物の原価が最も高い。ブックレットを簡略化あるいは省略し、紙スリーブのパッケージにしてボックスに収めれば、1枚当たりの物理的原価は数十円以下だろう。その他のコスト要素としては生産設備の原価償却費、音楽そのものの編集(そもそもこの手のボックスセットに新規録音セッションはないだろう)に関わる人件費や流通費用等がある。それらを上乗せしてもメジャーレーベルのボックスセットで1枚当たり単価300円程度、ブリリアントレーベル等の廉価ボックスセット専業に近いもので1枚当たり単価100円という設定なら、十分折り合うと見込める。もっともこんな状況ながら若い世代はネット音源に頼ってCDを買わないらしい。ぼくら世代は理解に苦しむところだ。
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