コンドラシンのブラームス第1
週末金曜日。今週も終了!ハイハイ、一週間程々に働きましたよ。8月分の給料もいただいて(^^; さて週末夜半の音盤タイム。きのうのヨッフム盤ブラームスを聴いて、そういえばと、こんな盤を思い出した。


キリル・コンドラシンとアムステルダムコンセルトヘボウ管によるブラームス第1交響曲。1980年2月のライヴ。会場はもちろんコンセルトヘボウ。実は手元にこの時期の一連のライヴ盤が何枚かある。ブラームス、メンデルスゾーン、ショスタコービッチ、シベリウス、ニールセン、ストラヴィンスキー、ラヴェル…中々多彩なラインナップ。十数年前にネットで激安箱買いした数百枚に埋もれていたもの。
1981年3月に67歳で急逝したキリル・コンドラシン(1914-1981)。キャリアは長いものの、旧ソ連時代にはその全貌が広く知られていたわけではない。第1回のチャイコフスキーコンクールで指揮を受け持ち、優勝したヴァン・クライバーンの米国凱旋に付き合った際の録音や、アルゲリッチとの協演などが知られ、真の実力派という触れ込みだけは伝わってきていたように思う。そして1978年に亡命し、前後して客演の頻度が多かったアムステルダム・コンセルトヘボウ管と残した一連のライヴ盤でその真価の一端がはっきりとしてきたといってもいい。
さてこのブラームス第1交響曲。冒頭の序奏から、悠然としたコンセルトヘボウ管の音響が素晴らしい。コンドラシンはほとんどテンポを動かさず、フレーズの出入りも飾り立てることなく進む。聴いていると、コンドラシンはもう少し速めのテンポを取りたいところを、オケがやや遅れ気味についていっているようにも聴こえる。序奏の終わりにあるチェロの下降音形もリタルダンドをかけず、インテンポのまま音量ディナーミクの変化だけでフレーズを閉じる。第2楽章もこの時代の演奏ではもっとロマンティックに寄った解釈が多かったと思うが、ここも音楽の基本は変わらず、テンポを揺らす、あるいは粘って歌うようなところはほとんどない。しかし、響きはすこぶる充実していて、素っ気無くもないし、ブラームスらしい重量感にも不足はない。 第4楽章は冒頭少しして出るホルンが不安定なのが惜しまれるが、主部に入ると建て直し、引き続きコンセルトヘボウ管の美しい響きと、よく考えられたパートバランスで音楽は進む。そしてここでもインテンポのままコーダへ。コーダに入ったあとの金管のコラールで一瞬音量を絞るギミックがあって驚くが、そのまま一気呵成に突き進んで大団円となる。
ロシアの指揮者というと、スヴェトラーノフやロジェストヴェンスキー(例えが古いなあ…)のようなタイプをイメージしがちだが、このブラームスを聴くと、コンドラシンはそうしたイメージとは一線を画し、ヨーロッパの伝統に添った幅の広い対応力をもった指揮者だったことをあらためて感じる。
この盤の第1楽章。 ライヴらしく、所々でコンドラシンの唸り声がかすかに聴こえてくる。
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