ローラ・ボベスコのフランス物
大型の台風が西日本を縦断したのち、日本海を北上中。各地の被害甚大。当地関東は一時風雨が強まったが、今は静まり返っている。あす昼前頃までは、まだ気が抜けないとのことだ。幸い大きな交通混乱もない中をいつも通りに帰宅。ひと息ついて何気なくネットを覗いていたら、きょうはヴァイオリニスト:ローラ・ボベスコの命日とあり、ふと思い出して、こんな盤を取り出した。

ローラ・ボベスコ(1921-2003)の弾く仏系ヴァイオリンソナタ集。フランク、フォーレ、ドビュッシーのソナタを集めた一枚。ピアノ伴奏はボベスコと長きに渡ってコンビを組んでいたジャック・ジャンティ。フランクとドビュッシーが1981年9月来日時、新座市での録音。フォーレは彼女のホーム、ベルギーで1980年3月に録られた。手持ちの盤は2005年にフィリップス・スーパーベストという千円盤で出たときのもの。
1921年生まれのボベスコは2003年きょう亡くなるまで長いキャリアを持ち、きっとぼくの世代よりも上のオールドファンに馴染みが深いだろう。80年になって初来日し一気に人気沸騰。以来8回に渡って来日を重ねた。かつてはブロンドの美貌ヴァイオリニストとしても知られ、この盤が録音された還暦を過ぎた頃の写真を見ても往時の美しさをうかがい知ることができる。
耳に馴染みのあるフランクのソナタが流れてきてすぐに気付くのはその音色だ。ふっくらと柔らかく太く、暖か味のある音。たっぷりとした弓使いと深いヴィブラート。昨今の主流であるキレがあってシャープで運動性能重視の弾きぶりとは対照的な、ひと時代昔のスタイルだ。現代的な演奏で聴くフランクが、ときにクリア過ぎて鋭利にさえ感じるのに対し、ボベスコの唯一無二とも言える音色で聴くと、曲の方からこちら側へ近づいて来て寄り添うようにさえ感じる。総じてテンポはゆっくりで、特に第1楽章などは、指定のアレグレット・ベン・モデラートが、アンダンテくらいに感じるほどだ。ひと昔前のスタイルではあるが、テンポを過剰に揺らしたり、ポルタメントを多用したりという、19世紀的雰囲気を引きずるところは少なく、音楽に気品があって実に好ましい。
この盤の音源。美しいフォーレのヴァイオリン・ソナタ第1番イ長調の第1楽章。
同第4楽章
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