昭和のギター曲集 -11-



かつて親しんだ昭和のギター曲集をたどる記事の続き。きょう取り出したのはこれ。


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音楽之友社刊<セゴビア/クラシックアルバム>。ショット社のライセンスを受け、アンドレス・セゴビア編の一連の楽譜をまとめた曲集。昭和45年1970年10月に第1巻が刊行され、以後数年かけて第16巻まで刊行された。書棚をさっと見回したところ、9冊が見つかった。もしかしたら、あと2、3冊手元にあるかもしれない。確か80年代初頭までは現役だったように記憶しているが、その後、他の音楽之友社刊ギター譜同様、絶版になってしまった。この曲集が刊行されていた時期とぼくのギター暦が完全にシンクロすることもあって、思い出深い曲集だ。

すでに没後30年となるセゴビア(1893-1987)だが、当時からそして今でも、演奏家としてのセゴビア同様、その演奏の元となったセゴビア編の楽譜に対する評価には賛否両論がある。楽譜に関しては、原曲からの改編(カットを含む)や独自の運指などに対して異論も多い。その後現在に至るまでに、原典への回帰やよりオリジナルに即した演奏や出版がなされていることから、この時代の「セゴビア編」なるこの音楽之友社刊の楽譜は、演奏同様、セゴビアの「解釈」が色濃く反映されたものとして認知されている。

そうはいっても当時、これだけのレパートリーの楽譜が田舎の楽器店でも300円(当時の学生バイトが一日1000円)で手に入ったことの功績は大きいと思う。実際、その田舎の高校生であったぼくも、ギターを弾き始めて少しずつ楽譜も読めるようになり、バッハのシャコンヌ、ポンセの前奏曲やソナタ、テデスコやトゥリーナのソナタなどにこの曲集によって初めて接した。もちろん当時も今もろくろく弾けないものの、そうしたレパートリーの一端に触れられたというだけでも、この曲集の功績は大きかった。


この曲集で初めて触れ、今もこのセゴビア編でさらうことが多いバッハの前奏曲とフーガ(・アレグロ)BWV998。セゴビア編ではアレグロはカットされている。 ガダニーニ作のギターを弾く福田進一によるプレリュード。


短い曲ながら印象的で当時よく弾いた。タンスマン「Danza Pomposa:はなやかな踊り」第12巻収録。当時はまだこの曲が含まれているカヴァティーナ組曲全体を知らなかった。


セゴビア自作曲もいくつか載っていた。有名な「光のない練習曲」。



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Author:マエストロ・与太
ピークを過ぎた中年サラリーマン。真空管アンプで聴く針音混じりの古いアナログ盤、丁寧に淹れた深煎り珈琲、そして自然の恵みの木を材料に、匠の手で作られたギターの暖かい音。以上『お疲れ様三点セット』で仕事の疲れを癒す今日この頃です。

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