ベートーヴェンのマンドリン曲
三連休中日の日曜日。久しぶりに朝から晴れ間が広がる気持ちのいい朝。部屋の片付けをしながら、のんびりBGMにこんな盤を取り出した。


ベートーヴェンの手になるマンドリン曲。先ほどからその中の<Andante con Variazioni ニ長調Wo44b>を聴いている。ベートーヴェンが4曲残したマンドリン曲の中では最も規模が大きく(といっても10分ほどの曲だが)、マンドリン以外の楽器でもときどき演奏されるようだ。以前チェロ相方から、この曲がイッサーリス(Vc)のCDに入っていると教えられた。手元にベートーヴェンのマンドリン曲の楽譜(昭和52年シンフォニア刊ラトキイ版)があったのを思い出して引っ張り出して眺めながら聴いている。手持ちの盤は一時期国内でも随分と出回っていた廉価盤ARTSレーベルの中の1枚。ベートーヴェンの4曲の他、フンメルのソナタと、ジョヴァンニ・ホフマンのソナタが2曲収録されている(詳細以下)。デュリオ・ガルフェッティのマンドリン独奏、ディエゴ・ファソリスという奏者がフォルテピアノで伴奏を付けている。1994年録音。
ベートーヴェン(1770-1827)
Andante and Variations for Mandolin and Piano in D major, WoO 44b
Sonatina for Mandolin and Piano in C major, WoO 44a
Sonatina for Mandolin and Piano in C minor, WoO 43a
Adagio for Piano and Mandolin in E flat major, WoO 43b
フンメル(1778-1837)
Sonata for Mandolin and Piano in C minor, Op. 37a
ホフマン (1770-1814)
Sonata for Mandolin and Basso Continuo no 2 in D minor
Sonata for Mandolin and Guitar in G major
ベートーヴェンの<Andante con Variazioni ニ長調Wo44b>は行進曲風の主題に続き、6つの変奏とコーダが続く。ライナーノーツによれば、ベートーヴェンが友人のためにプライベートに書いた曲とあった。イタリア近代のムニエルやカラーチェほど技巧的な曲ではないく、少し器用なアマチュア奏者には好適なレベルだろうか。第2変奏ではピアノがモーツァルト風の変奏を繰り広げ、第5変奏ではニ短調に転じてロマンティックな風情。コーダも中々趣きある終わり方で聴かせる。他の3曲も小品ながら音楽的には充実していて、チャーミングなべートーヴェンが楽しめる。そういえばハ短調のソナチネは学生時代、大編成のマンドリンアンサンブルに編曲して、まるでストコフスキーのバッハのように演奏したことがあった。今となっては恥かしい想い出だ。 変ホ長調のアダージョは、調性の関係もあって内省的な響き。ベートーヴェンのピアノソナタに通じる雰囲気があって、音楽的には4曲中もっとも味わい深い。フンメルとホフマンのソナタは19世紀初頭の古典から初期ロマン派のセオリー通りの佳曲。この時代、マンドリンは市井の楽器として多いに持てはやされた。曲も相応に作られたが、その多くは忘れ去られて聴く機会は少ない。これらについてはいずれまた。
中華マンドリンともいうべき<柳琴>によるAndante con Variazioni Wo44bの演奏。
ハ短調のソナチネWo43aの原曲。
フンメルのソナタハ長調
■ にほんブログ村ランキングに参加中 ■
■↓↓↓バナークリックにご協力を↓↓■

にほんブログ村
- 関連記事
-
- P・トルトゥリエ@1972年東京 (2019/07/09)
- ブラームス:チェロソナタ第1番ホ短調 (2019/03/15)
- ベートーヴェンのマンドリン曲 (2018/09/16)
- ローラ・ボベスコのフランス物 (2018/09/04)
- モーツァルト 弦楽五重奏曲ト短調 K.516 (2018/07/31)