ベートーヴェンのマンドリン曲



三連休中日の日曜日。久しぶりに朝から晴れ間が広がる気持ちのいい朝。部屋の片付けをしながら、のんびりBGMにこんな盤を取り出した。


201809_Madolin_Fortepiano.jpg 201809_LVB_Mandolin.jpg


ベートーヴェンの手になるマンドリン曲。先ほどからその中の<Andante con Variazioni ニ長調Wo44b>を聴いている。ベートーヴェンが4曲残したマンドリン曲の中では最も規模が大きく(といっても10分ほどの曲だが)、マンドリン以外の楽器でもときどき演奏されるようだ。以前チェロ相方から、この曲がイッサーリス(Vc)のCDに入っていると教えられた。手元にベートーヴェンのマンドリン曲の楽譜(昭和52年シンフォニア刊ラトキイ版)があったのを思い出して引っ張り出して眺めながら聴いている。手持ちの盤は一時期国内でも随分と出回っていた廉価盤ARTSレーベルの中の1枚。ベートーヴェンの4曲の他、フンメルのソナタと、ジョヴァンニ・ホフマンのソナタが2曲収録されている(詳細以下)。デュリオ・ガルフェッティのマンドリン独奏、ディエゴ・ファソリスという奏者がフォルテピアノで伴奏を付けている。1994年録音。

ベートーヴェン(1770-1827)
 Andante and Variations for Mandolin and Piano in D major, WoO 44b
 Sonatina for Mandolin and Piano in C major, WoO 44a
 Sonatina for Mandolin and Piano in C minor, WoO 43a
 Adagio for Piano and Mandolin in E flat major, WoO 43b
フンメル(1778-1837)
 Sonata for Mandolin and Piano in C minor, Op. 37a
ホフマン (1770-1814)
 Sonata for Mandolin and Basso Continuo no 2 in D minor
 Sonata for Mandolin and Guitar in G major

ベートーヴェンの<Andante con Variazioni ニ長調Wo44b>は行進曲風の主題に続き、6つの変奏とコーダが続く。ライナーノーツによれば、ベートーヴェンが友人のためにプライベートに書いた曲とあった。イタリア近代のムニエルやカラーチェほど技巧的な曲ではないく、少し器用なアマチュア奏者には好適なレベルだろうか。第2変奏ではピアノがモーツァルト風の変奏を繰り広げ、第5変奏ではニ短調に転じてロマンティックな風情。コーダも中々趣きある終わり方で聴かせる。他の3曲も小品ながら音楽的には充実していて、チャーミングなべートーヴェンが楽しめる。そういえばハ短調のソナチネは学生時代、大編成のマンドリンアンサンブルに編曲して、まるでストコフスキーのバッハのように演奏したことがあった。今となっては恥かしい想い出だ。 変ホ長調のアダージョは、調性の関係もあって内省的な響き。ベートーヴェンのピアノソナタに通じる雰囲気があって、音楽的には4曲中もっとも味わい深い。フンメルとホフマンのソナタは19世紀初頭の古典から初期ロマン派のセオリー通りの佳曲。この時代、マンドリンは市井の楽器として多いに持てはやされた。曲も相応に作られたが、その多くは忘れ去られて聴く機会は少ない。これらについてはいずれまた。


中華マンドリンともいうべき<柳琴>によるAndante con Variazioni Wo44bの演奏。


ハ短調のソナチネWo43aの原曲。


フンメルのソナタハ長調



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Author:マエストロ・与太
ピークを過ぎた中年サラリーマン。真空管アンプで聴く針音混じりの古いアナログ盤、丁寧に淹れた深煎り珈琲、そして自然の恵みの木を材料に、匠の手で作られたギターの暖かい音。以上『お疲れ様三点セット』で仕事の疲れを癒す今日この頃です。

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