群馬交響楽団のブラームス



昨年秋まで使っていたWindows7のPCには、動画編集用としてマイクロソフトのサイトから無償ダウンロードしたムービーメーカーというソフトウェアを入れていた。初心者がちょっとした動画を作ってアップするにはちょうどいい塩梅のレベルで重宝していたのだが、Windows10になってマイクロソフトがムービーメーカーの提供を止めてしまった。さてどうしたものかと思案していたが、少し前にWindows10付属のフォトというアプリケーションで写真の編集だけでなく、簡単なムービー作成が可能だと、今更ながら知って使い始めた。といっても機能はいたってシンプルかつ最小限度のもの。このところ記事に貼っているような、手持ちのCD音源をYOUTUBEにアップする程度の作業にはちょうどいい。いくつか写真を選んで、音源ファイルを貼って、写真の時間を調整すればスライドショー的な画像をバックに音源再生が可能となる。もっとも手持ちのiPhoneかiPadで付属のiMovieでも使う方が良いのは承知しているが、CD音源を取り込むのにPCを使うこともあって、安直にPC内で完結させている。まあ、探求心が欠如しているだけで、もっと効率的でスマートな方法があるのに違いない。そんなわけで、とまれ音源のアップも簡単にできる状況なったので、YOUTUBEに音源がない場合は手持ちのCDをアップすることにした。さて、きょうも先日来の(YOUTUBEにはない)群馬交響楽団の演奏。この盤を取り出した。


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高関健の指揮による群馬交響楽団によるブラームスの交響曲第1番ハ短調。1997年前橋市民文化会館でのライヴ録音。1993年に音楽監督に就任した高関健氏。彼の存在により、群馬交響楽団の演奏は短期間のうちの大きく変貌を遂げたといっていい。80年代初頭にヴァイオリニストの豊田耕児氏を音楽監督に迎えて、アンサンブルの基本から再構築し、それまでのレベルから抜け出した同団だが、その後再び音楽監督不在となり(常任指揮者のみ)、開花したかに見えたつぼみが再び萎むかのような印象が残っていた。それが高関氏の着任で大きく動き出した。先回記事にした1995年のベートーヴェン連続演奏会のあと、高関&群響はブラームスを取り上げ、1997年に4曲を連続演奏した。そのときの記録の一つがこの盤である。

以前ある雑誌のインタビューで高関氏は、影響を受けた指揮者としてフルトヴェングラーをあげ、中学生時代から心酔してそのレコードを繰り返し聴いたと答えていた。しかし、彼の解釈にはフルトヴェングラーの影響を受けたと聞いて即座に想像するようなところはほとんどみられない。彼の指揮する群馬交響楽団の演奏には20回以上接し、古典から現代まで様々な曲を聴いたが、彼の指揮から繰り出される音楽はいつも新鮮だった。テンポはもたれず、響きはクリア。各パートのバランスが完璧で響きが凝縮されている。そしてヴァイオリン出身らしく弦楽群のフレージングが明快だ。

先のベートーヴェン同様、この盤のブラームスでもそうした美点が全編に渡って見て取れる。第1楽章冒頭の序奏はかなり悠然としたテンポで始まるが、主部に入ると快速調になり、かつ、ほんどんインテンポで進む。しかしフレージングに意を配してるからか単調な感じはまったくなく、力感にも不足がない。第2、第3楽章も常に音楽がフレッシュで、第4楽章も多くの演奏にあるような慣例暦なテンポルバートがほとんどない。全編通して、音楽はいま生まれたかのような印象を受け、この曲はブラームスの青春期に作られたのではないかと思うほどだ。


手持のCDからアップした。第1楽章


同第4楽章。


第2楽章 https://youtu.be/R02-xACwsWw
第3楽章 https://youtu.be/P5sMhItY260


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Author:マエストロ・与太
ピークを過ぎた中年サラリーマン。真空管アンプで聴く針音混じりの古いアナログ盤、丁寧に淹れた深煎り珈琲、そして自然の恵みの木を材料に、匠の手で作られたギターの暖かい音。以上『お疲れ様三点セット』で仕事の疲れを癒す今日この頃です。

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