アファナシエフのショパン:マズルカ集


夏が終わってようやく秋になったと思ったら、もう十月も下旬。淡々と過ぎる日々。あっという間に今年も終わりだ。 先日、学生時代の友人と十数年ぶりに会って旧交をあたためたのだが、その折にも、人生なんて呆気ないものだ、気付けばもう終わりじゃないか…という話になった。日足が短くなり、夜も冷え込み、人生の黄昏感もMAX。アラカンおやじのセンチメンタルウィークエンドに、こんな盤を取り出した。


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これまでも何度か記事にしたヴァレリー・アファナシエフによるショパンのマズルカ集。手元にあるショパン作品の音盤の中ではもっとも頻繁に聴く一枚だ。2001年4月、当地群馬県笠懸野文化ホールでのセッション録音。手持ちの盤は例によって日本コロンビアの廉価盤<クレスト1000>シリーズの一枚。収録曲は以下の通り。

1 .マズルカ イ短調 作品17の4
2. マズルカ 変ロ短調 作品24の4
3. マズルカ 変イ長調 作品41の4
4. マズルカ 変ニ長調 作品30の3
5. マズルカ 嬰ハ短調 作品30の4
6. マズルカ ト短調 作品24の1
7. マズルカ ホ短調 作品17の2
8. マズルカ ホ短調 作品41の2
9. マズルカ 嬰ハ短調 作品50の3
10. マズルカ ヘ短調 作品63の2
11. マズルカ 嬰ハ短調 作品63の3
12. マズルカ イ短調 作品67の4
13. マズルカ イ短調 作品68の2

収録曲全13曲のうち11曲が短調作品という異例の選曲。もちろん、アファナシエフの意図あっての選曲だ。いずれの曲も、遅いテンポで一音一音噛みしめるかのような弾きぶり。深いメランコリーと失意とあきらめと…そんなことを想起させる演奏だ。

ショパンが晩年に至るまで50曲以上書き続けたマズルカは、彼の望郷の歌であり、音楽家としての原点でもある。アファナシエフの手になるこの演奏は、先人のルビンシュタイン、ミケランジェリ、同時代のピリスらともまったく趣きを異にする。中でも最初のトラックに入っているイ短調作品17-4のマズルカは絶品だ。通常4分程度の演奏時間のこの曲を、アファナシエフは6分半以上かけて演奏している。…絶望と悲惨と荒々しさに満ちた無克の歌。独自の美学に生きる鬼才のピアニストの厳粛なる儀式…と記されたジャケット帯のコメントそのものの演奏。秋深まるこの時期に聴くに相応しい。


手持のCDから3曲アップした。
イ短調作品17-4、変イ長調作品41-4、嬰ハ短調作品63-3。


ルビンシュタインによる作品17-4


今年の夏に来日したクピンスキー・ギターデュオ(ポーランド)による作品17-4



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Author:マエストロ・与太
ピークを過ぎた中年サラリーマン。真空管アンプで聴く針音混じりの古いアナログ盤、丁寧に淹れた深煎り珈琲、そして自然の恵みの木を材料に、匠の手で作られたギターの暖かい音。以上『お疲れ様三点セット』で仕事の疲れを癒す今日この頃です。

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