マラッツ<スペイン・セレナーデ>



40年ぶりに旧友H君と再会した。
中学・高校と同窓で、高校時代には一緒にギターを弾き、大学時代も帰省の折にはしばしば会っていたH君だが、社会人になってからは疎遠になっていた。数年前からその彼のことが気になっていて、何とか連絡が取れないものかと思案していたのだが、ふとしたきっかけで再会が実現。きょうの午後、拙宅でしばし昔話に花を咲かせた。


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その彼が高校時代によく弾いていた曲にマラッツ作曲のスペイン・セレナーデという曲がある。ぼくら世代の中級以上のギター弾きなら一度はさらったことがある曲だろう。 ホアキン・マラッツ(1872-1912)はアルベニスやグラナドスと同世代のスペインのピアニストで彼らとの親交も深かった。作曲家としてもいくつかの曲を残したようだが、実質このスペイン風セレナーデだけが知られている。元々はピアノ曲だが、<アルハンブラの思い出>で知られるフランシスコ・タレガ(1852-1909)によってギター独奏に編曲され、以降ギター弾きのスペイン物定番曲として愛奏されてきた。近年はアルベニス、グラナドスのやはりピアノ曲からのギター編曲物に比べると演奏される機会は少ないようだが、スパニッシュなリズムにのってセンチメンタルでキャッチ―なメロディーが歌い、中盤は明るい長調に転じる分かりやすい曲想、曲名通り全編これスペイン風の佳曲だ。

高校時代の旧友H君はこの曲を、練習前の指慣らしのごとく毎日のように弾いていた。傍目で見ていたぼくは、当時あまりスペイン物に関心がなかったこともあって、ふ~んという感じで見ていてが、後年自分でさらってみて、存外に難しいことに気付いたものだ。
理系秀才だったH君は難関校に進み、社会人としては大手機械部品メーカーの重職も務めたのち昨年秋に帰郷、今回の再会となった。お互いに白い物が目立つ風貌に40年の年月を感じながらも、話す抑揚、笑うタイミング、相槌の打ち方など、あまりに昔のままで拍子抜けするほどだった。最近ギターとは縁遠くなっていると言っていたが、いずれカムバックして、かつてのように二入でソルの二重奏を楽しめる日が来ることを楽しみにしている。 …というわけでH君、また会いましょう!


マラッツ<スペイン・セレナーデ>
1992年生まれのアンドレア・ゴンザレス・カバレロによる演奏。


オリジナルのピアノ版


弦楽合奏版



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Author:マエストロ・与太
ピークを過ぎた中年サラリーマン。真空管アンプで聴く針音混じりの古いアナログ盤、丁寧に淹れた深煎り珈琲、そして自然の恵みの木を材料に、匠の手で作られたギターの暖かい音。以上『お疲れ様三点セット』で仕事の疲れを癒す今日この頃です。

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