今井信子 <My Bach on Viola>



ぼちぼち日付が変わる時刻。下戸の不調法にて渋茶をすすりつつ、こんな盤を取り出した。


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日本を代表するヴィオラ奏者:今井信子がバッハ・ファミリーの作品を弾いたアルバム。1996年スイス録音。デッカ傘下に入り、今はもう無くなってしまった<フィリップス>レーベルの一枚。このアルバムを契機に一連のバッハ録音が始まった。収録曲は以下の通り。大バッハとその二人の息子達の作品が収められている。

W.F.バッハ:ソナタ ハ短調(ヴィオラとチェンバロのための)
J.S.バッハ:第2番ニ長調BWV1028(ヴィオラ・ダ・ガンバとチェンバロのための)
J.S.バッハ:第3番ト短調BWV1029(ヴィオラ・ダ・ガンバとチェンバロのための)
C.P.E.バッハ:ソナタ ト短調(ヴィオラ・ダ・ガンバとチェンバロのための)
J.S.バッハ:ソナタ第1番ト長調BWV1027(ヴィオラ・ダ・ガンバとチェンバロのための)

父バッハの作品は、もちろん原曲のヴィオラ・ダ・ガンバ(チェロで弾かれるが多い)とは違った印象だが、まったく違和感がない。むしろヴィオラの方が音域、運動性等の特性ゆえか、音楽が無理なく自然に流れるようにさえ感じる。楽器としてヴィオラよりもふたまわり以上も大きいガンバほどエネルギッシュではないことで、音楽がより内省的に響くのも特徴的だ。通奏低音ではなく、しっかりと記譜されたオブリガートチェンバロとの対話の相性もヴィオラの方がいいのではないかと感じるほどだ。
息子二人のこれらの作品にはこの盤で初めて接した。中ではC.P.E.バッハ:ソナタ ト短調が中々素晴らしい。この曲も原曲はヴィオラ・ダ・ガンバとチェンバロのためソナタではあるが、この録音で使われた楽譜1969年に独ショットから出た版では、ヴィオラまたはヴィオラ・ダ・ガンバとチェンバロのための(チェロにてもよい)と記されてるそうだ。

ヴィオラの音は何とも心安らぐ。華麗でときにチャーミングなヴァイオリンや、落ち着いた分別あるジェントルマンの如きチェロもいいが、ヴィオラの音色・音域も格別だ。やや年齢を重ねた穏やかなで包容力のある女性のイメージか…と勝手に決め込んでいる。


C.P.E.バッハ:ソナタト短調第1楽章。手持ちの盤からアップした。



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Author:マエストロ・与太
ピークを過ぎた中年サラリーマン。真空管アンプで聴く針音混じりの古いアナログ盤、丁寧に淹れた深煎り珈琲、そして自然の恵みの木を材料に、匠の手で作られたギターの暖かい音。以上『お疲れ様三点セット』で仕事の疲れを癒す今日この頃です。

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