アラールの華麗なる練習曲
週末金曜日。夜半になってギターを取り出し、最近耳にしたこの曲の楽譜を開いて、さらってみた。

20世紀モダンギターの源流となったフランシスコ・タレガ(1852-1909)が19世紀フランスのヴァイオリニスト:ジャン=デルファン・アラール(1815-1888)作の練習曲の一つを<アラールの華麗なる練習曲>と称してギターに移したもの。アラールはサラサーテの師匠にして演奏・出版・指導の各方面で高い評価を得ていたようだ。20世紀に入り、このタレガの編曲をセゴビアが演奏して大そう広まった。ぼくがアラールの名とこの曲を知ったは高校時代。セゴビアのレコードと古本で手に入れた音楽之友社「世界大音楽全集:ギター名曲集」の楽譜(写真)で親しんだ。
原調のイ長調はギターにもっとも適した調の一つだ。主三和音の基音A・D・Eすべてが、ギターでもっとも力強い音が出せる3本の低音開放弦に当たることがその一つの理由だ。この曲をギターに移すにあたってタレガは、各小節1拍目に低音追加するに程度の編曲に留めている。原曲のアルペジオ風音形がギターにはうってつけで効果的に響き、題名の通り<華麗なる>印象を与える。低音を付加せず、ヴァイオリン用の楽譜をそのままギターで弾いても、ほとんど印象は変らないだろう。
ヴァイオリンでは中々の難曲かもしれないが、ギターでは左手ポジション固定のまま分散和音として弾ける箇所が多い。難しいのは、分散和音のアルペジオにのせて高音のメロディーをレガートなフレージングで歌うことだろう。多くのアマチュアの演奏がアルペジオに意識が集中し、メロディーがボケてしまい、また4分の2拍子のリズムが感じられない演奏が多い。4小節単位のフレージングと4分2拍子の拍節感がこの曲のポイントだろう。そうしないと<華麗なる>感じは出てこない。よく6、7小節目に見られる低音Dの維持が指摘されるが、2ポジションセーハ維持の練習としては意義があるだろうが、この1点に固執してこの曲の演奏を評する必然性はないだろう。 …などど分かったような講釈を唱えながら、さきほど久々に弾いてみたら、ボロボロでありました(^^;
ジェニファー・キムというギタリスト。13歳@2012年。同年にパークニング国際コンクールのジュニア部門で入賞しているようだ。
ジュリアン・ブリームによる演奏。使用楽器はロマニリョス…ですね。
この曲の楽譜
http://ks.imslp.net/files/imglnks/usimg/0/0f/IMSLP165685-SIBLEY1802.15148.e552-39087023636386score.pdf
ヴァイオリン用オリジナル楽譜。この練習曲集の第2曲目。
http://petrucci.mus.auth.gr/imglnks/usimg/f/f6/IMSLP354892-PMLP251731-Al_et_19.pdf
■ にほんブログ村ランキングに参加中 ■
■↓↓↓バナークリックにご協力を↓↓■

にほんブログ村
- 関連記事
-
- アルベニス:カタロニア奇想曲 (2019/04/15)
- ロドリーゴ:三つのスペイン風小品 (2019/04/07)
- アラールの華麗なる練習曲 (2019/03/29)
- 原典版カルカッシギター教則本 (2019/03/23)
- J・ジルマル:バーデン ジャズ組曲 (2019/03/07)