マーラー交響曲第6番イ短調「悲劇的」



物憂い春の宵。追い打ちをかけるようにこんな盤を取り出した。


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ジョン・バルビローリ(1899-1970)とニューフィルハーモニア管弦楽団によるマーラー第6交響曲イ短調。1967年8月ロンドン・キングスウェイホールでのセッション録音。手持ちの盤は80年代初頭の再発盤LPで、R・シュトラウスのメタモルフォーゼンがカップリングされている。この時期のバルビローリのマーラーとしては同じNPOとの5番とベルリンフィルとの9番がある。いずれも名演のほまれ高いもので、ぼくの手元にもある。第6番イ短調は冒頭の劇的な開始から終楽章の大団円まで聴きどころ満載だが、今夜はその第3楽章に針を下ろした。かつてはバルビローリのこの録音のように第3楽章にアンダンテ・モデラートをおくのが一般的だったが、2003年マーラー協会の宣言以降、近年ではアンダンテ・モデラートの楽章を第2楽章として演奏することが多いようだ。

マーラーの緩徐楽章、それもバルビローリとくれば、濃厚なロマンティシズムとたっぷりとした歌心に満ちた演奏を想像する。しかし6番のこの第3楽章は、アンダンテ・モデラートの指定もあるように、それほどこってりとした音楽ではない。もちろん出だしの数秒を聴いただけでマーラーのそれと分かる音楽であるには違いないが、美しくも淡いロマンティシズムに満ちた音楽が静かに流れていく。終盤にはカウベルも響き、どこか幼き日への憧憬もイメージさせる。この楽章だけ聴くと第1楽章のあの勇ましい開始は想像すらできない。ニューフィルハーモニア管の音もよく整っているし、録音も低く深いコントラバスのピアニシモまでよくとらえられていて申し分ない。春の物憂い宵に相応しい。


この盤の音源。第3楽章アンダンテ・モデラート。


アバドとルツェルン祝祭管によるライヴ。全楽章。第2楽章アンダンテ・モデラートは24分45秒から。



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Author:マエストロ・与太
ピークを過ぎた中年サラリーマン。真空管アンプで聴く針音混じりの古いアナログ盤、丁寧に淹れた深煎り珈琲、そして自然の恵みの木を材料に、匠の手で作られたギターの暖かい音。以上『お疲れ様三点セット』で仕事の疲れを癒す今日この頃です。

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