ムラヴィンスキー:管弦楽名演集
先回の記事に書いたが、天候が悪いわけではないが、何となくスッキリしない。ボチボチ梅雨前哨戦か。自然現象にたてつく気はないが、何かスカッとする盤はないかと思案し、この盤を見つけた。

ムラヴィンスキーと手兵レニングラードフィルによる管弦楽小品を集めた有名な盤。昔から何かと引き合いに出される演奏だ。1965年2月モスクワで行われた一連の演奏会の中からピックアップされ、曲の終わりには拍手も入っている。手持ちの盤は1977年に廉価盤で発売されたときのもの。
この盤を有名にしたのは、ひとえにグリンカの歌劇<ルスランとリュドミラ>序曲の演奏だろう。この曲はオーケストラのアンサンブル能力を誇示するピースとしてしばしば演奏される。この盤は一般的なテンポの3割以上の飛ばしっぷり。しかもそれが暴走とならず、一糸乱れぬアンサンブルで実現される。ぼくも学生時代の終わり頃に評判を聞きつけてこの盤を手に入れたのだが、四畳半の下宿に帰って針を下ろしたとき、それこそ腰が抜けるほど驚いたのを記憶している。
この時代、つまり冷戦真っ只中の60年代半ば。ムラヴィンスキーもレニングラードフィルも、鉄のカーテンの向こう側にいる凄い連中の域を出なかったが、いくつかの盤でその恐るべき実力が伝わってきた。この盤やムジークフェラインで録られたDG盤のチャイコフスキーの交響曲などは、そうした噂と評判を決定的にした演奏の一つだろう。久々に聴くと、確かにそのテンポには相変わらず驚くが、その中できっちりとフレーズの表情をいきいきと描いていることを再確認する。この盤の収録曲はモーツァルトからワグナー、ドビュッシーまで、いささかごった煮の感があって、ドビュッシーなど、少々雰囲気に欠ける演奏もある。しかし、ムラヴィンスキー&レニングラードフィルにドビュッシーを期待しなくてもいいだろう。今や語り草の、鉄壁の合奏能力を誇った往時のコンビに拍手を送りたい。
標準的な速度だろうか。ティーンエイジャーから成る米国ナショナルユースオーケストラ。めちゃくちゃ巧いじゃないか!
この盤の音源。百聞一聴にしかず。テンポに驚いていると55秒過ぎのVa&Vcの雄弁な歌いっぷりに二度驚く。
ゲルギエフ指揮マリインスキー劇場管弦楽団による演奏@2008。ゲルギエフがムラヴィンスキーを意識したかどうか分からないが、演奏所要時間はほぼ同タイムだ。
藝大トロンボーン科面々による果敢なる挑戦!(再生ボタンを押したあと警告が出るが、指示に従って下線部分をクリックするとYOUTUBE上での再生が始まる)
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