マタチッチ ブルックナー 交響曲第7番


きのう記事に書いた1886年生まれの指揮者ポール・パレーは調べたところ、フルトヴェングラーと同い年であることを知った。なるほど、戦中から戦後にかけての世代は、少し長生きしたかどうかで、随分とその盤歴に差が出てくる。ポール・パレーは1979年に93歳で亡くなった。当然ステレオ全盛期にも多くの録音が残せたし、もう少し生きていればCDの時代にも間に合ったわけだ。一方のフルトヴェングラーは1954年に亡くなり、残念ながらステレオ期には存命しなかった。19世紀生まれの指揮者をつらつらと思い浮かべ、しかもぼくら世代に馴染みのあった指揮者は…そうだ、マタチッチがいるではないか。というわけで、きょうはロブロ・フォン・マタチッチの盤の中から、ブルックナーの第7交響曲を取り出した。


IMG_0584.jpg  IMG_0587.jpg


今更マタチッチやブル7の解説は必要もないほど、書籍やネットでも多くが語られている。ぼくら世代には70年代から80年代初頭にかけてのNHK交響楽団への客演時の姿が焼き付いている。巨体を降らしながら登壇し、手刀を切るようなぶっきら棒な指揮スタイルだった。が、日頃冷静なエリート集団が、マタチッチを前にすると人が変わったように身を乗り出して演奏していた。きょう取り出したブルックナーの第7番は、60年代後半にチェコフィルハーモニーと行った一連の録音の一つで、30年以上前の学生時代からブルックナーの盤として最もよく聴いた盤だ。

第1楽章冒頭から実に構えの大きな音楽が広がる。悠揚迫らずとはこの演奏のためにある言葉ではないかと思うほどだ。ブルックナー開始に導かれて始まるホルン、それに続く弦楽群の息の長いフレーズ。自分も呼吸を合わせて旋律を歌おうと思うのだが、必ずこちらの方が先に出てしまう。急がず、あわてず、アルプスの頂きへの長大なアプローチを歩むがごとく進む。チェコの名門;スプラファンによる録音もマタチッチの意図を十全に汲み取るような素晴らしい録音だ。チェコフィルの演奏は管楽器群にときどき音程のあやしいところなども出てくるが、弦楽セクションはとてもいい。特にブルックナーでは重要なチェロ・コントラバス群の響きも充実していて、開始後1分半から2分あたりの低弦群の入りではスピーカーの右奥方向から、スーッと床面に音が伸びてくる。第1楽章の主部に入る前の冒頭6分間だけでも、この盤は価値を失わないだろう。
主部に入ってもいささかも音楽は品格と重量感を失わずに進む。この第7番はブルックナーの交響曲の中にあって、秀逸な第1楽章に比べ後半以降の楽章の評価が低いのだが、マタチッチとチェコフィルによるこの盤を聴いていると、そんな世評は微塵も感じずに70分のブルックナー・ワールドを堪能できる。

↓↓にほんブログ村ランキングに参加中↓↓
↓↓↓↓ワンクリックお願いします↓↓↓↓
にほんブログ村 クラシックブログ クラシック音楽鑑賞へ
にほんブログ村
関連記事

コメントの投稿

非公開コメント

プロフィール

マエストロ・与太

Author:マエストロ・与太
ピークを過ぎた中年サラリーマン。真空管アンプで聴く針音混じりの古いアナログ盤、丁寧に淹れた深煎り珈琲、そして自然の恵みの木を材料に、匠の手で作られたギターの暖かい音。以上『お疲れ様三点セット』で仕事の疲れを癒す今日この頃です。

カレンダー
07 | 2017/08 | 09
- - 1 2 3 4 5
6 7 8 9 10 11 12
13 14 15 16 17 18 19
20 21 22 23 24 25 26
27 28 29 30 31 - -
最新記事
最新コメント
カテゴリ
月別アーカイブ
リンク
QRコード
QR
閲覧御礼(2010.10.01より)