セラフィン&ローマ歌劇場管 <ロッシーニ序曲集>



降ったりやんだりの梅雨らしい週末。土曜は終日外出。きょう日曜は身辺諸事のアレコレで日が暮れた。昼下がりのひととき、暑気払いをかねて、こんな盤を取り出した。


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トゥリオ・セラフィン指揮ローマ歌劇場管弦楽団による<ロッシーニ序曲集>。1963年10月ローマRCAスタジオ録音。ディレクター:ハンス・ウェーバー。録音技師:ギュンター・ヘルマンス。DGスタッフもカラヤン&BPOによるセッションで多忙な日程を調整し、ローマまで出張対応したのだろうか。手持ちの盤は60年代中庸の国内初出盤。十数年前に例によって大阪の梅田の中古レコード店で見つけて手に入れた。すぐにそれと分かるDG黄色レーベルのチューリップマークも懐かしい一枚。収録曲は以下の通り。

-A面-
1. 歌劇「どろぼうかささぎ」序曲
2. 歌劇「絹のはしご」序曲
3. 歌劇「ウィリアム・テル」序曲
―B面―
4. 歌劇「セビリャの理髪師」序曲
5. 歌劇「セビリャの理髪師」-「嵐の音楽」
6. 歌劇「セミラーミデ」序曲

指揮者のトゥリオ・セラフィン(1878-1968)はもっぱら劇場の人だったから、オペラファンでもないとあまり馴染みはない存在だ。実際、多くのオペラの名盤を残したことは承知していたが、ぼく自身オペラをはほとんど聴かないこともあって、それらに接することもなかった。ぼくにとってはこの盤が初セラフィンという次第。

演奏はどれも素晴らしい。第1曲が冒頭から高揚感MAXになる「どろぼうかささぎ」序曲で始まるのもうれしい。総じて楽曲主部のテンポはやや遅め。「ウィリアム・テル」序曲の後半も、勢いに任せたノリで突っ走る感じはなく、打楽器、トロンボーンの重厚な響きが生きるテンポ設定。その後の、例えばアバドによる華麗かつ流麗な演奏とひと味もふた味も異なる。60年代は今ほどインターナショナルではなく、オケも国、地方で独自の音を持っていた時代。歌い回しは総じてサラッとしているが、やや深めのアインザッツやローマ歌劇場管の音色もあって、音楽にコクがあり、今から劇が始まるという高揚感に満ちている。モダンで美しく空調の効いた現代のホールで聴くシンフォニックな演奏ではなく、まさにイタリア地方都市のやや狭い劇場で、陽気な人々の熱気がムンムンとするような場内の響き渡る様といったらいいだろうか。そうはいってもさすがのDG録音で、オーケストラピースとしての迫力も十分だし、日頃のBPOとの録音よりも明らかに音色が明るく生気にあふれている。エコーもごく自然に付加されていて、おそらくあまり編集が加えられていないと思いわれる流れのよい演奏と共に、この時期、スカッと爽やか暑気払いに好適な一枚だ。


この盤の音源。歌劇「どろぼうかささぎ」序曲


同じく、歌劇「セビリャの理髪師」序曲


ダニエル・ハーディンクがフェニーチェ劇場のオケを振った「どろぼうかささぎ」序曲



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Author:マエストロ・与太
ピークを過ぎた中年サラリーマン。真空管アンプで聴く針音混じりの古いアナログ盤、丁寧に淹れた深煎り珈琲、そして自然の恵みの木を材料に、匠の手で作られたギターの暖かい音。以上『お疲れ様三点セット』で仕事の疲れを癒す今日この頃です。

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