スウィトナーの「リンツ」
週末土曜日。先週に続き野暮用少々で日が暮れる。夜半になって一服。久しぶりにこんな盤を取り出した。

オトマール・スウィトナー(1922-2010)の指揮するドレスデン国立歌劇場管(SKD)によるモーツァルト交響曲集。第35・36・38番が収められたもの。手持ちの盤は、ぼくら世代にはお馴染みのEMI系廉価盤セラフィムシリーズの1枚。学生時代の終わり頃に手にしたはずなので、すでに40年は経過しているはずだが、まだビニールカバーがかかったままで、ビックリしたなぁ~もぉ~。
第36番ハ長調「リンツ」に針を降ろす。1968年録音。
第1楽章冒頭、第38番「プラハ」と甲乙付けがたい素晴らしい序奏がゆっくりをしたテンポで始まる。もっと早めかと思っていたのだが、ベーム並みの堂々として構え。そしていきなり美しいドレスデンの響き!。ふくよかな弦楽群、チャーミングな木管群、いずれも惚れ惚れする美しさ。主部に入るとスウィトナーらしい快速調にギアシフト。テンポが速くなってもSKDの音の美しさは不変で音楽が粗くならない。所々で現われるスフォルツァンドも実に柔らかく決まる。提示部繰り返し有り。
第2楽章もややゆっくりめのテンポだろうか。過度な抑揚は避けつつ、8分の6拍子を正確に刻みながら進む。第3楽章は遅めのテンポ。堂々としたメヌエットだが、決して剛直なところはなく、終始しなやか。終楽章はスウィトナーらしいすっきりとした響きとSKDの各パートの掛け合いが魅力的で、テンポが速くても優雅さを失わない演奏だ。
録音状態も良好。LPで聴いても遠近感と音場の広がりは秀逸。この盤でもやや近めの第1ヴァイオリンとヴィオラが左右に広がり、チェロとコンバスが右奥に展開。この夏で導入から4年になるアヴァロンの特性もあって、中央奥に定位する木管群、そのやや右にトランペット、左奥にはティンパニと、手に取るように分かる。音量を絞り気味にしているにも関わらず低音が痩せることなく、バランスよく鳴るのも、深夜リスニング族にはありがたい。そんなアヴァロンの助けもあって、今はもう聴けない<東側>時代のドレスデンの響きが堪能できる1枚だ。
この盤の音源。第1楽章。1分35秒ほどの序奏に続いて主部が始まる。コントラバス基音が下支えする安定した響きが聴こえてくる。
スコア付き音源。ラインスドルフ&ボストン響の演奏だそうだ。
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