モーツァルト ミサ曲ハ短調



日頃から俗な生活を送っているせいか、時には俗で邪悪な心を静めるために、宗教曲が聴きたくなく。今夜はそんな気分の日。とはいえ、マタイやロ短調ミサを全曲聴く時間余裕もないので音盤一枚で済む曲にしよう…そんな選択基準からして邪悪だが、ふと思いついてこんな盤を取り出した。


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モーツァルトのミサ曲ハ短調K.427。フェレンツ・フリッチャイ指揮ベルリン放送交響楽団による盤。1960年録音。手持ちの盤は70年代終盤に出ていたグラモフォンの廉価盤シリーズの一枚。当時、発売されて間もない頃に手に入れた。
ハンガリー生まれのフェレンツ・フリッチャイ(1914-1963)は好きな指揮者の一人だ。活躍のピークで白血病に冒され、度重なる手術に耐えたものの1963年に48歳の若さで亡くなった。彼が残したベートーヴェン・モーツァルト・チャイコフスキー・バルトークなどいずれも名演揃い。本ブログでも度々取り上げている。晩年に録音したこのミサ曲ハ短調ももちろん期待に違わぬ演奏で、半世紀前のものとは思えない素晴らしい録音とも相まって、この曲のベストチョイスの一つとして評価が定まっている。

フリッチャイの曲の運びは当時の伝統的な解釈通り、しっかりとした弦楽の響きを大事にしながらフレーズをゆったりと歌わせ終始美しい。ベルリン放響も当時の独系オケに共通した、暗めの音色と重量感のある音響構成で、この時代の解釈にふさわしい響きといえる。第2曲グローリアでは、モーツァルトの技巧が冴え渡り、対位法を駆使したフーガから、彼のオペラを思わせる快速調のアリアまで、多彩な曲想が目白押しだ。

このミサ曲はハ短調という調性ながら同じモーツァルトのレクイエムのような悲劇性は少なく、心穏やかに聴くことが出来る。物欲やいろんな欲に浮き足立った晩は、こんなミサ曲を聴くのもいいだろう。…と言いながら、LP盤ジャケットのライナーノートを読み終えたあと、続けて楽器やオーディオのカタログを広げているぼくは、相変わらず俗や邪悪から逃れられそうにない。嗚呼。


この盤の音源。


エリオット・ガーディナー指揮ストックホルムフィル&モンテベルディ合唱団による演奏。4分30秒過ぎ、ソプラノが最低音から一気に駆け上がるフレーズは、いつ聴いても背筋がぞくぞくする瞬間だ。



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