バリオス「フリア・フロリダ」
三連休最終日。野暮用少々の他はのんびりと過ごす。昼間は久しぶりにギターを取り出し2時間ほど練習。メカニックなスケール練習のあと、こんな曲をさらってみた。


パラグアイの作曲家・ギタリスト:アグスチン・バリオス・マンゴーレ(1885-1944)作曲の小品「フリア・フロリダ」。広げた楽譜は鈴木大介監修バリオス選集の第1巻。バリオス53歳の1938年、悪化した心臓病の治療のためコスタリカに滞在していた際、援助を受けていた建築家にしてギター愛好家だったフランシスコ・サラサールの姪フリア・マルチネス(フリア・ロドリゲスとも)のために作られたと、ある資料に書かれていた。付された「フロリダ」は花盛りの、華やかな、といった意味で、曲目全体としては「花のように美しいフリア」をいう意味合いになるようだ。コスタリカといえば美人が多いことで有名。この曲が贈られたフリア嬢もさぞや美しかったに違いない。この曲はそんなことを連想させるロマンティックな小品だ。加えて、バリオス作品の中では技術的難易度が程々で、ぼくらアマチュア連中の間でも人気高い。
曲目にはバルカローレ(舟歌)と付されている。海や舟にちなむ曲には古典様式として8分の6拍子(あるいはその変形)が与えられることが多い。この曲も舟歌の定石通りに8分の6で書かれ、波にゆれる小舟を表現する低音音形のパターンが繰り返される上に、甘美なメロディーが流れる。フレーズはごく自然に流れながらまとまりがあり、分かりやすい。6弦をDに下げる調弦とニ長調の調性は、モダンギターがもっとも豊かに鳴るセッティングの一つだ。ゆったりとした響きと自然なフレーズ、時々織り成される転調や半音階進行など、短いながらも弾いていて楽しく、心和む小品だ。
そんなポジティブな気分で楽器に向かい、気分良く弾き始めるが、ゆらゆらゆれる8分の6拍子の程よいローリングを感じながら、その上にのるメロディーをレガートかつフレーズの起伏を感じさせるように弾くのは、どっこい、中々難しい。
タチアナ・リツコヴァによる演奏
マット・パルマ―という奏者。楽器は木ペグのトーレス・レプリカ。
ピアノでも弾きたくなる曲想のようだ。
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