寺井尚子<ジャズ・ワルツ>
台風19号に翻弄された三連休が終了。明日はまた仕事という夜、音盤棚を見回し、こんな盤を取り出した。

ジャズ・ヴァイオリンの寺井尚子のアルバム<ジャズ・ワルツ>。
こういう音盤を買うのはケッコウ気恥ずかしい。いかにも「ジャケ買い」ではないか。渋いブラームスの室内楽のCDと一緒にレジに出すときなどは、ほとんど赤面ものだ。高校生が参考書の下にピンク色の本を忍ばせてレジに持っていくような気分か(そんな高校生はもはやいないな)。 まあ、それはともかく…彼女の8作目になるというこのアルバムには、クラシックやジャズスタンダードに加え、彼女や彼女の仲間達のオリジナル曲がいくつか入っている。オリジナルといっても、どこから聴いても聴きなれたポップススタンダードではないかと思うほど、ナチュラルで気負いのない作品ばかりだ。2003年録音。収録曲は以下の通り。
01. ジャズ・ワルツ
02. アパッショナータ ~ 情熱
03. ダニー・ボーイ
04. ラグな気分で
05. 魅惑のワルツ
06. 貴婦人のタンゴ
07. 風に舞う
08. 砂の記憶
09. ヒット・アンド・アウェイ
10. アイ・ミー・マイン
11. チルドレン
12. (エンハンスド)「アパッショナータ ~ 情熱」 スタジオ・ライヴ映像収録
最初の曲、もうすっかりお馴染みになったショスタコービッチのジャズ組曲第2番のワルツ第2番。日本人にはどこか郷愁を感じさせる曲調だ。サーカスや見世物小屋のジンタをイメージする人が多いだろう。ショスタコービッチはかつてのソビエトでガチガチで深刻な体制音楽を作ったが、一方でこうした軽みのある曲や映画音楽も多数残した。原曲の主題を奏したあとのアドリブソロは、このワルツのもつノスタルジックな曲想を更に甘く切なく味付けしていて、なかなか泣かせる。ダニー・ボーイや魅惑のワルツなどのスローナンバーでは曲を崩しすぎず、センスのよいフレーズが続く。9曲目のヒット・アンド・アウェイは、彼女のバンドメンバー細野義彦(G)の作品。ドライブ感が最高で、寺井のバイオリンと細野のギターの掛け合いもスリリングだ。
ジャズ・バイオリンで思い浮かぶ名前の筆頭はステファン・グラッペリだろうか。決してポピュラーではないジャンルに多くの音楽ファンの目と耳を向けさせたのも彼女の功績だ。実はこのアルバム、CDプレイヤーにセットして聴くまで多くは期待していなかったのだが、見事に裏切られた。予想以上によかったのだ。今度CDショップに行き、激渋のベートーヴェン後期弦四のCDを買うときには、また彼女のアルバムをその下に忍ばせてレジに持っていくことにしよう。
手持ちの盤からアップした。ショスタコーヴィチの通称<ジャズ・ワルツ>
同<ヒット・アンド・アウェイ>
<フライ・ミー・トゥ・ザ・ムーン>
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