ゴンザロ・ソリアーノ(P)のお国物



早いもので十月も半ば。天候は相変わらず落ち着かず、台風一過も束の間、ぐずついた日が続いている。そんな天候同様、仕事の方も下期に入ってから、いささか停滞気味。空のご機嫌も仕事の塩梅も、スカッといかないものだろうか…と、ぶつぶつ言いながらも週末金曜でホッとひと息。こんな盤を取り出して、リラックスとなった。


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スペインのピアニスト:ゴンザロ・ソリアーノ弾く<近代スペイン・ピアノ名曲集>を題された一枚。ジャケットに1966年と記されている60年代の国内盤(この録音の国内初出盤)で、当時東芝音楽工業から出ていたお馴染みの赤盤。例によって十数年前の大阪出張の際、梅田の中古レコード店で買い求めた。

ゴンザロ・ソリアーノは1913年生まれのスペインのピアニストで1972年に亡くなっている。スペインのピアニストというと思い浮かぶのは、アリシア・デ・ラローチャ(1923-2009)だが、ゴンザロ・ソリアーノは一世代上ということになるだろうか。ファリャやグラナドス、モンポウといったスペイン物の録音をモノラル時代から出していたようで、一部には幻のピアニストといった言われ方もされたようであるが、少なくても日本では一般的な人気を博した様子はなく、ぼくもこの盤を中古で手に入れるまで知らなかった。収録曲は以下の通りだ。

4つのスペイン小品集(ファリャ)
 ・アラゴネーズ
 ・キューバ舞曲
 ・モンターニュ舞曲
 ・アンダルシア無曲
スペイン舞曲集(ロドリーゴ)
 ・田園の娘
 ・三人の乙女の踊り
 ・山の歌
イベットの為のソナチネ(モンサルバジェ)
アンダルシア幻想曲(ファリャ)

スペイン物といってもファリャのバレエ音楽やアルベニスの組曲、グラナドスの舞曲集、モンポウの小品程度しか知らなかったぼくには、いずれもこの盤で初めて聴く曲ばかりだった。中でも聴きものはファリャだ。ファリャの4つのスペイン小品集は彼の最初のピアノ曲で、スペイン的なリズムや和声をベースにしながらも、静けさと憂いに満ちている。バレエ音楽のようなポピュラリティーはなく、彼がこの作品を引っさげて留学先のパリへ赴いた頃の意欲が感じられる曲だ。一方、アンダルシア幻想曲はルビンシュタインのために書かれた作品で、ファリャ最後のピアノ曲だそうだ。例によってギターによる演奏をイメージするようなスペイン的なリズムはここでも現れるが、更に旋律に古い教会旋法が使われるなど興味深い。


この盤に音源で、ファリャのアンダルシア幻想曲(Fantasía Bética)


ソリアーノが弾くアルベニス「タンゴ」 ギター弾きにもお馴染みの曲だ。


アリシア・デ・ラローチャの弾くファリャ「4つのスペイン小品集」(アラゴネーズ:キューバ舞曲/モンターニュ舞曲/アンダルシア舞曲)



ファリャのピアノ全曲のCDを出している西澤安澄の演奏。4つのスペイン小品集から「アンダルーサ」



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マエストロ・与太

Author:マエストロ・与太
ピークを過ぎた中年サラリーマン。真空管アンプで聴く針音混じりの古いアナログ盤、丁寧に淹れた深煎り珈琲、そして自然の恵みの木を材料に、匠の手で作られたギターの暖かい音。以上『お疲れ様三点セット』で仕事の疲れを癒す今日この頃です。

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