パク・キュヒ(G)当地来演



ようやく秋らしい週末土曜日。昼過ぎからパク・キュヒの演奏会へ。


201910_Pak.jpg


人気・実力ともトップレベルの一人パク・キュヒ。当地へは三年連続の来演。一昨年は群馬交響楽団とアランフェス協奏曲を演奏し、ぼくも初めて彼女の実演に接した。昨年はソロの演奏会が開かれたが、あいにく野暮用で行けず。今回の演奏会も直前まで予定不確定でどうしようかと思案していたのだが、うまく野暮用回避し予定が空いたので、急遽チケットを予約した。

令和元年10月26日(土)午後2時開演 於:前橋市民文化会館
演奏曲目は以下の通り。
ソル:エチュード 作品6-11(セゴビア編の17番)
スカルラッティ:ソナタ K208,K32,K322
タレガ:ラグリマ、アルハンブラの想い出
バッハ:シャコンヌ
<休憩>
グラナドス:詩的ワルツ集
バリオス:フリア・フロリダ、ワルツ第3番、ワルツ第4番、森に夢見る
ディアンス:フォーコ
(アンコール:アラビア風奇想曲、聖母の御子)

パク嬢は数年前にスペインのアリカンテに短期で留学。一旦帰国したのち、現在はより本格的な研鑽を積むべく、同じアリカンテに住んでいるとのこと。彼女のスケジュールをみると、この秋には日本でのいくつかの演奏会をはさんでスペインを行ったり来たりの様子。今回も昨日スペインから日本に着いたばかりとのこと。いまもっとも忙しく飛び回っている演奏家の一人かもしれない。

今回のプログラム。「自分の好きな曲、ずっと弾き続けていきたい曲を並べた」そうだ。結果的にはクラシックギター愛好家にはお馴染みのポピュラー曲が並んだ。口さがない輩からは定食メニュー的とも言われそうだが、まあ定食もときには良い。後半はグラナドスの詩的ワルツ集に始まり、彼女がもっとも好きな作曲というバリオスの作品を並んだ。いずれもロマン派曲想の色濃い曲で、彼女の表現意欲もよりアクティブに。最後はテクニカルなディアンスで大団円となった。

実はプログラム前半を会場中央付近の席で聴いていたのだが、あまりに音が届いてこない。小ホールとはいえ、600席ある多目的ホールのデッドな空間ではやはりクラシックギターは厳しいなあ…そう思いつつ、休憩後のプログラム後半には、会場最後方に空席があったので移ってみると、これが正解。ステージからの距離はずっと遠くなるものの、会場空間に飛散した音が程よくミックスされて席まで届いてきた。もちろん大音量ではないが、愛器ダニエル・フレドリッシュの真価も発揮され、ふっくらとした低音とピュアな高音もバランスもよく、ギター本体の音色が味わえるレベルの音で楽しむことができた。

2時間に渡るプログラムが終わり会場を出ると、CD販売コーナーでサインをするチャーミングなパク嬢の姿を見つけた。来年も来てね!と心の中でつぶやきつつ、会場を後に…。 秋の好日。よい演奏会だった。


パク嬢が小学2年のときに初めて聴いて好きになり練習を始めたというバリオス「森に夢見る」


スカルラッティのソナタ K322


R・ディアンス:フォーコ(リブラ・ソナチネ第3楽章)



■ にほんブログ村ランキングに参加中 ■
■↓↓↓バナークリックにご協力を↓↓■
にほんブログ村 クラシックブログ クラシック音楽鑑賞へ
にほんブログ村
関連記事

コメントの投稿

非公開コメント

ソルのエチュード6ー11は学生時代からの愛奏曲なのですが、プロが演奏会でも弾くのですね。どんな演奏でしたでしょうか?
アルペジオオンリーですがとても美しい曲なので。

Re: タイトルなし

通りすがりさん、コメントありがとうございます。
ソルのエチュード6ー11…いい曲ですよね。私も例のセゴビア編20曲のうち、最初に愛奏曲となり、大学入学してまもなくの頃、サークル内の発表会で弾いた思い出の曲でもあります。
パク嬢の演奏、テンポ設定はやや速めで、くどく粘らずにサラっと弾いていましたが、要所要所の和声の緊張と解決、倚音の処理などは、古典的作法の範囲内で十分な抑揚を付けていました。ソルの他の曲も聴いてみたいものです。

柔らかい音の使い方

新しいCDにソルの6-11も入っており聞くことができました。アダージェットの演奏が素晴らしく、柔らかい音の使い方が絶妙で美しく何か遠くから聞こえてくるような音でこうした音を上手く出すことは非常に難しいのですがこれが彼女の持ち味なのでしょう。緩急、ダイナミズムも効いていてギターで弾いても感動を呼び起こすものでした。編曲してくれた佐藤弘和さんに感謝、合掌です。この曲の演奏では〇治嬢は完敗だと思います。

Re: 柔らかい音の使い方

通りすがりさん、こんにちは。 ギターソロには難易度が高いと思われる後期ロマン派のこの曲を取り上げたことは素晴らしいと思います。佐藤編の楽譜とパク・キュヒの演奏で、マーラーのこの曲がギター弾きにも身近なものになるといいなあと思います。
プロフィール

マエストロ・与太

Author:マエストロ・与太
ピークを過ぎた中年サラリーマン。真空管アンプで聴く針音混じりの古いアナログ盤、丁寧に淹れた深煎り珈琲、そして自然の恵みの木を材料に、匠の手で作られたギターの暖かい音。以上『お疲れ様三点セット』で仕事の疲れを癒す今日この頃です。

カレンダー
05 | 2023/06 | 07
- - - - 1 2 3
4 5 6 7 8 9 10
11 12 13 14 15 16 17
18 19 20 21 22 23 24
25 26 27 28 29 30 -
最新記事
最新コメント
カテゴリ
検索フォーム
月別アーカイブ
QRコード
QR
閲覧御礼(2010.10.01より)