ガヴォット・ショーロ
公開中の映画「マチネの終わりに」。11月1日の公開以来、行こう行こうと思いながら、中々時間が取れずにいたが、先日ようやく仕事先近くのシネコンに立ち寄ることが出来た。
クラシックギターの弾き手が主役となる映画はおそらく初めてではないだろうか。映画のあれこれは置くとして、スクリーンから聴こえてくる耳馴染んだクラシックギターの曲を聴きながら、「クラシックギター…やっぱ中々いいなあ」と、あまりに素直な感動に包まれ、我ながら驚いてしまった。バッハ、バリオスなどが流れる劇中の演奏風景に中で、妙に印象に残った曲があったので、楽譜を広げてさらってみた。


ヴィラ・ロボス(1887-1959)作曲のガヴォット・ショーロ。ブラジル民謡組曲(Suite Populaire Bresilienne)中の1曲。ブラジル民謡組曲はマズルカ・ショーロ、ショティッシュ・ショーロ、ヴァルサ・ショーロ、ガヴォット・ショーロ、ショリーニョの5曲から成る。ヴィラ・ロボスはクラシックギター弾きにはお馴染みの名前だが、一般的には例のブラジル風バッハ辺りが知られている程度かもしれない。ヴィラ・ロボスは千曲を越す作品を残した多作家であり、または中々器用でギターの腕前も上級以上だったようだ。ギター作品はそう多いわけではないが、12曲からなる練習曲や5曲ある前奏曲などは上級以上を目指す弾き手には必修曲だ。ぼく自身は練習曲も前奏曲も手付かずの状態だったが、少し前に一応見ておこうかという程度の不純な動機もあって、あらためてお手軽なマックス・エシック社の曲集を買い求めた。
ブラジル民謡組曲はいずれも親しみやすい曲調で、初めてギターに接する人にもすんなりと受け入れられる曲調なのだが、いざ実際に弾こうと思うと、耳で聴くほどには易しくない。いずれも数分の曲で、冒頭は難なく進むものの、曲中何カ所かひっかかるフレーズが出てきて手こずることになる。そんな中、このガヴォット・ショーロは5曲中では最も取っ付きやすいもので、ニ長調ではじまるフレーズは、ややのんびりとしたテンポで弾くと心和む。途中ロ短調、嬰ヘ短調をはさんで、ニ長調のフレーズが繰り返され、ガヴォットのリズムにのって穏やかな逍遥が続く。映画のシーンを思い出しながらポロポロと奏でる民族調メロディーは中々楽しく、心温まる。
髭のおにいさんの飄々とした弾きぶりがナイス!
味わい深いローリンド・アルメイダの演奏。
楽譜付き音源
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