クナッパーツブッシュのワグナー管弦楽曲集
相変わらず業務多忙。それでもかつてのような午前様もなく、まあまあ程々の忙しさ。もう前期高齢者だからね…。というわけで本日もそこそこ業務に精励。8時過ぎに帰宅した。師走に入り、冬の到来を実感。音楽も少し濃厚な響きを聴きたくなり、今夜はこんな盤を取り出した。

ハンス・クナッパーツブッシュ(1888-1965)が晩年ミュンヘンフィルを振って録音したワグナーアルバム。オケはミュンヘンフィル。1962年録音。手持ちの盤は70年代半ばに出ていたLP2枚組。見開き隅に購入当時1976年の書き込みがあった。大学3年の年だ。記憶が正しければ、今はなき銀座ハンターで手に入れたはずだ。
ワグナー振りとしてつとに有名な彼クナッパーツブッシュを聴くには本来、ワグナーの楽劇全曲盤を聴くべきという向きも多いだろうが、管弦楽曲集のこの盤だけ聴いても、彼が如何に図抜けた音楽家であったかは十分にわかる。この盤を買ったのはもう40年前のことだが、当時からすでに耳にタコができるほど聴いていたマイスタージンガー前奏曲やタンホイザー序曲をこのクナーッパーツブッシュの盤で聴いたとき、それこそ腰が抜けるほどの衝撃を覚えたものだ。
例えばマイスタージンガー前奏曲では、出だしのテーマこそさりげなく提示されるのだが、そのあと曲が展開して盛り上がり、音の構成が厚くなるに従い、どんどんテンポを落としていき、その度に音楽が巨大になっていく。同時に各パートの音の絡みが実に明快に描き出され、ワグナーの書いた複雑なスコアの骨格とその組立てが実によくわかる。タンホイザーも同様だ。そして息の長いフレージングとクレシェンド。自分も曲に合わせて拍子を取ってみるのだが、クナの息の長いフレージングのタイミングまで待てずに、いつも先に次の拍に入ってしまうほどだ。この盤に収められている他の曲、トリスタンとイゾルデ、リエンチ序曲、ジークフリート牧歌、いずれもクナッパーツブッシュの至芸が堪能できる。
この盤の音源。マイスタージンガー前奏曲。序盤が終わった4分過ぎ辺りから次第にテンポを落としていく。7分を過ぎ辺りから完全にクナ節になる。
ブリギット・ニルソンを迎えたウィーンフィルとの演奏。コンサートマスターにボスコフスキーの姿。ミュンヘンフィルのとのこの盤の録音に近い時期、1962年アン・デァ・ウィーン劇場。歌劇場出身らしい長い指揮棒。椅子に腰かけ、時折り立ち上がりオーケストラを自在にコントロールする。
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