J・K・メルツ「タランテラ」



週末の晩。ひと息ついて…先日のメルツ小品集の記事で思い出し、この曲をちょっとさらってみた。


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ヨーゼフ(ヨハン)・ガスパール・メルツ(1806-1856)作曲のタランテラ。メルツの作品は19世紀の古典ギター黄金期にあって、そのロマンティックな作風から人気が高い。ソルやジュリアーニより少しあとの世代で、時代的には初期ロマン派。ソナタなどの古典様式の曲ではなく、曲にもタイトルが付くようなロマンティックで幻想的な曲が多い。ギター界のメンデルスゾーンなどといわれることもある。<タランテラ>は彼の代表作の一つである<吟遊詩人の調べ>作品13に入っている。手元には京本輔矩編の楽譜もあるが、時代の雰囲気も味わいたいので、例によってBoijeコレクションの楽譜を広げた。

楽曲としてのタランテラはよく知られている通り、毒蜘蛛タランテラに噛まれると、その毒で踊り狂い死に至るとの言い伝えから8分の3または8分の6拍子の急速調をとる。ブルクミュラーの練習曲に始まり、メンデルスゾーン、ショパン、シューベルト他、多くのロマン派作曲家がタランテラを書いている。メルツのタランテラもセオリー通りに出来ていて、イ短調の見かけは比較的やさしい譜づらながら、中々演奏効果が上がる曲だ。弾いていても気分がいい。中級者レベルであれば初見で通せると思うが、タランテラらしい狂乱にはある程度のスピード感とディナーミクの段取りが必要だ。

快演! 19世紀ギター(レニャーニモデル)のレプリカを使用。ネックヒール部に弦高調整用のネジが見える(45秒過ぎから)。


マウロ・ジュリアーニ(1781-1829)のタランテラ。名手スタロビンに演奏。楽器はハウザー・ヴィエナモデル


ギター曲のタランテラでもっとも有名なのはこの曲かもしれない。カステルヌウォーボ・テデスコ(1895-1968)のタランテラ。学生時代に少々かじったなあ…


タランテラは昔も今もイタリアの国民的ダンス。さあ、みんな踊ろう!



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Author:マエストロ・与太
ピークを過ぎた中年サラリーマン。真空管アンプで聴く針音混じりの古いアナログ盤、丁寧に淹れた深煎り珈琲、そして自然の恵みの木を材料に、匠の手で作られたギターの暖かい音。以上『お疲れ様三点セット』で仕事の疲れを癒す今日この頃です。

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