R・コルサコフ「スペイン奇想曲」
さて今年も残すところ十日余り。仕事も今週いっぱいで終わりだ。一年の締めくくり…なんて述懐する年齢でもなくなったなあ…などと、ぶつくさ言いながら音盤棚をサーチ。ちょっと景気づけにこんな盤を取り出した。


リムスキー・コルサコフ(1844-1908)の「スペイン奇想曲」。手元にはいくつかの盤があるが、今夜は数年前に入手したジョージ・セル&クリーヴランド管による盤を取り出した。収録曲は以下の通り。メインは<展覧会の絵>だが、他にロシア物の管弦楽曲が4曲入っている。1958年録音。
ムソルグスキー:組曲「展覧会の絵」
ムソルグスキー:歌劇「ホヴァンシチナ」より前奏曲(モスクワ河の夜明け)
ボロディン:歌劇「イーゴリ公」より ダッタン人の踊り
リムスキー・コルサコフ:「スペイン奇想曲」
チャイコフスキー:「イタリア奇想曲」
こうしたロシア物の醍醐味の一つは、演奏するオーケストラの妙技や合奏能力を聴くことだろう。中でも「スペイン奇想曲」はその要素が強い。曲は以下の5つの部分からなる。
・アルボラーダ
・変奏曲
・アルボラーダ
・シェーナとジプシーの歌
・ファンダンゴ
いずれもスペイン・アストゥリアス地方の民謡や舞曲をモチーフにしている。軍人家系に生まれ、自身も海軍に在籍したリムスキー・コルサコフは異国趣味が強く、海軍時代に寄港したスペインでの印象も強く心に残ったことが、この曲の背景にあるそうだ。
セル&クリーヴランド管の精緻でクリアな響き。アンセルメ盤などとはまったく雰囲気の異なる演奏。音の色彩感よりも、音の構成・構造あるいは設計図を提示するかのようだ。響きはいつも通り透明で、スコアの構成が透けて見えそうだし、この曲の聴きどころであるヴァイオリンや管楽器群のソロももちろん完璧。正確無比なオケ共々、雰囲気だの色彩感だのという前に、思わず居ずまいを正して聴きたくなる。録音もオリジナルのEPIC時代に高音質盤としてリリースされたこともあって解像度が高い。エネルギーバランスはやや腰高あるいは摩天楼型だが、コントラバス低弦の低い帯域までダブつかずによくのびていて、この曲の華やかな響きを堪能できる。 スパニッシュテイストあふれる明るくカラフルなこの曲を聴いて、さて、残る一週間を乗り切りましょうか。
古澤巌と洗足学園大学オケ(弦楽編成)による演奏。
ホルヘ・カバレロによるギターソロ版。彼は山下和仁以来途絶えていたギターソロによる<展覧会の絵>や<新世界>の演奏もこなす。
取り上げた盤。セル&クリーヴランド管による演奏。
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