イッポリトフ=イワノフ 「コーカサスの風景」組曲第1番



ボロディン、ハチャトゥリアンと、このところの記事で気分は中央アジア…というわけで、今夜はこんな盤を取り出した。


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イッポリトフ=イワノフ(1859-1935)の組曲「コーカサスの風景」。その名の通り、コーカサス地方の民謡や土地の光景をモチーフにロシア近代の作曲家イワノフが1895年に管弦楽作品として発表した。手持ちの盤はお馴染みのナクソス盤。

第1曲:峡谷にて/第2曲:村にて/第3曲:モスクにて/第4曲:酋長の行列

オーケストラの編成は各種打楽器、木管群も持ち替えでピッコロやコールアングレなどが入る大規模なもので、イワノフとしては色彩的な表現を狙ったのだろう。第1曲ではホルンや弦楽群によって峡谷や川の流れが雄大に表現される。第2曲のやや低い音域のコールアングレとヴィオラによって奏され、中間部ではオリエンタルな雰囲気のリズムを伴った哀愁に満ちたメロディーが印象的だ。弦楽器を一切使わず、木管楽器群と打楽器で奏される第3曲は平和な祈りの調べか。終曲「酋長の行列」はこの組曲で最も有名で、単独で演奏されることも多い。第1曲から第3曲までの比べメロディーが明確かつ印象的で、ピッコロで奏される主題は一度聴いたら忘れないだろう。古くから伝わる有名なオスマントルコ軍の行進曲のモチーフも顔を覗かせる。

ナクソス盤最大のヒットアルバムであるカリンニコフの交響曲でも演奏していたウクライナ国立交響楽団をアーサー・フェイガン(1949-)というアメリカ生まれの指揮者が振っている。アーサー・フェイガンは名伯楽スワロフスキーの教えを受けたということだが、スワロフスキー(1899-1975)にとっては最後に弟子という年代だろうか。1995年の録音で、豊かなホールトーンと共に遠近感もよく出ていて音質上々。どの曲も落ち着いた運びで、妙に色彩的にならないところがむしろいい。特に「酋長の行列」では、終始ゆったりとした遅めのテンポでスケール大きな曲の運びが素晴らしい。 この盤には同名の第2組曲のほか、イワノフの他の管弦楽作品も併録されている。第2組曲の終曲「グルジア行進曲」は「酋長の行列」に劣らず壮大なマーチ。作品62「トルコの断章」もエキゾチックで印象的なメロディに満ち、オリエンタルムードが漂う佳曲だ。

これら一連の曲やボロディン作品などでイメージする広大で悠久な中央アジアも昨今どうもきな臭い。極東の小市民が憧れと異国情緒をもってイメージする光景は遠くなりにけりなのか。


この盤の音源。組曲第1番作品10。
0:10~第1曲 10:11~第2曲 15:59~第3曲 20:15~第4曲


吉田正記念オーケストラによる「酋長の行列」
同団のYOUTUBEチャンネルには貴重な演奏音源が多数公開されている。


故・佐藤弘和氏ほか平倉信行・竹内永和・毛塚功一ら中堅名手によるギター四重奏による「酋長の行列」。


「酋長の行列」のオリジン?有名なオスマントルコの行進曲:ジェッディン・デデン(Ceddin Deden)



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