シネマ歌舞伎



年明け以来、久々に火がついてしまったマイ歌舞伎魂。先日、隣り町でシネマ歌舞伎の上映があったので、仕事帰りに楽しんできた。

202002_Cinema_Kabuki.jpg


十数年前に松竹が歌舞伎の普及を目指して始めたシネマ歌舞伎。今では全国の映画館で定期的に楽しめる。今回はいつもはコンサートで通う高崎芸術劇場内のスタジオシアターでの二日間だけの上演。演目は玉三郎が演じる舞踏の中でも人気・評価ともに高い「鷺娘」と、人形振りが見どころの「日高川入相花王(ひだかがわいりあいざくら)」。坂東玉三郎主演とあって、チケットも早々に売切御礼になったようだ。

少し前の記事にも書いた通り、玉三郎(1950-)人気絶頂期の80年代に、何度かその舞台に触れることが出来たのは、わが道楽人生の中でももっとも印象深い体験だった。特に道成寺に代表される踊りはその美しさを主眼に楽しめる演目。当夜の「鷺娘」もその一つだ。ただ、実際の舞台と違って、劇場のスクリーンでみる歌舞伎はどうなのかと一抹の不安があったのだが、始まってみるとすぐにそれが杞憂に過ぎないことが分かった。

舞台全体を映したところがスクリーンに広がると、実際に歌舞伎座一等席に居るかのように感じるほどで、ほとんど違和感がない。時々映し出される演者のアップこそ、実際の舞台では見られない構図だが、細かな所作や表情が手に取るように分かり、それはそれで面白い。総じて、全体の雰囲気を壊さないよう配慮しつつ、クローズアップが入るので違和感を感じないのだろう。すでに玉三郎は還暦近くになっていたときの舞台だが、ぼくのような素人にはまったく年齢的要素は感じ取れない。同行した家人も「鷺にしか見えない」「文楽人形にしか見えない」と言葉を失っていた。

予想以上によかったシネマ歌舞伎。毎月歌舞伎座の一等席というのは難しいから、ローカルで楽しめるシネマ歌舞伎で喉の渇きを癒しませうか。

「鷺娘」のあれこれは以下に
http://enmokudb.kabuki.ne.jp/repertoire/770?tab=home


以下の動画はシネマ歌舞伎としての上演作品と同じ映像と思われる。アップロードされたのがつい数日前。おそらく早晩削除されるだろう。
2分20秒過ぎ:大太鼓の雪音にのって白無垢姿の鷺の精がセリから登場。積もる雪の中、切ない胸の内を踊りに託す。10分50秒過ぎ:引き抜きで町娘姿に。可憐な舞とクドキで魅せる。13分過ぎ:娘が下手に下がって着替える間、五挺五枚の長唄囃子連中の聴かせどころが続く。15分55秒過ぎ:着替えた玉様登場。男心のつれなさを舞い、19分35秒過ぎに再び引き抜き。傘づくしで軽妙に踊る。22分過ぎ:再び雪音の大太鼓が鳴り始め、舞台は暗転。娘は赤の襦袢姿になり、鷺の本性があらわになる。23分過ぎ:「ぶっかえり」で鷺にもどり、激しく降り続ける雪の中で狂おしく舞うも、最後は哀しく息絶える。



「日高川入相花王」の紹介。シネマ歌舞伎と同じ舞台。人形振りの玉三郎。人形遣いに尾上菊之助。


4月に隣り町で上映予定の「京鹿子二人娘道成寺」予告編



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Author:マエストロ・与太
ピークを過ぎた中年サラリーマン。真空管アンプで聴く針音混じりの古いアナログ盤、丁寧に淹れた深煎り珈琲、そして自然の恵みの木を材料に、匠の手で作られたギターの暖かい音。以上『お疲れ様三点セット』で仕事の疲れを癒す今日この頃です。

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