アート・ファーマー 「ART」



三連休が明けて、二月も最終週。不穏なニュースを眺めながらも、本日も程々の業務に精励。いつもの時刻に帰宅。ひと息ついて、こんな盤を取り出した。


202002010_Art.jpg


少し前に聴いたアート・ファーマー(1928-1999)の代表作の一つ。その名も「ART」と名付けられた1960年録音のワン・ホーンアルバム。トミー・フラナガン(P)、トミー・ウィリアムス(b)、アルバート・ヒース(d)がバックを固めている。収録曲は以下の通り。

A面
ソー・ビーツ・マイ・ハート・フォー・ユー/グッドバイ、オールド・ガール/フー・ケアズ/アウト・オブ・ザ・パスト
B面
ヤンガー・ザン・スプリングタイム/ザ・ベスト・シング・フォー・ユー・イズ・ミー/アイム・ア・フール・トゥ・ウォント・ユー/ザット・オールド・デヴィル・コールド・ラヴ

音を出す前に、まずこのジャケットが印象的だ。
トランペット持った、存在感のあるアート・ファーマーの半身。セッション途中のスナップなのか。ちょっと見には少々コワモテのように見えるが、よく見るを眼差しは柔和だし、白いシャツにも清潔感を感じる。実際、彼の性格には真面目で、音楽に対する真摯な姿は多くのジャズ仲間から尊敬されていたそうだ。そう聞いて眺めると、ますますジャケットのファーマーに好感を抱く。

出てくる音楽もそうした彼の性格を表わすように、どこを聴いてもラフなところがない。ジャズにありがちな、プレイヤー任せのアドリブ命だけに終わらず、演奏に当たっての全体構成、各パートの役割、アドリブの段取り等、事前によく練られているように感じる。トランペットというと、ぼくらのような素人には派手な音の出る、威勢のいい楽器というイメージが先行しがちだが、このアルバムでは渋く、落ち着いた、といって過度に求心的ではなく程々にリラックスしたプレイが楽しめる。


この盤の音源から、ソー・ビーツ・マイ・ハート・フォー・ユー、アウト・オブ・ザ・パスト、ヤンガー・ザン・スプリングタイム、ザット・オールド・デヴィル・コールド・ラヴの4曲。


この盤の録音から数年後、1964年のライヴ。



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No title

ビル・クロウの自伝「さよならバードランド」にもアート・ファーマーについてのエピソードがでてきますね。とにかく一緒にいると楽しくなるような、そんな彼の温かい人柄がしのばれます。

Re: No title

うぶさん、コメントありがとうございます。
村上春樹訳のビル・クロウの自伝にアート・ファーマーの逸話が書かれているのですね。なるほど…という感じでしょうか。手元にはアート・ファーマーの盤が数枚ありますが、いすれも落ち着いた雰囲気の心穏やかになる演奏です。そういえば、ビル・クロウの盤も1枚ありました。以前、記事にしたことがありました。近々またアップしてみます。
プロフィール

マエストロ・与太

Author:マエストロ・与太
ピークを過ぎた中年サラリーマン。真空管アンプで聴く針音混じりの古いアナログ盤、丁寧に淹れた深煎り珈琲、そして自然の恵みの木を材料に、匠の手で作られたギターの暖かい音。以上『お疲れ様三点セット』で仕事の疲れを癒す今日この頃です。

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