ハイドン 交響曲第82番『熊』ほか A・フィッシャー盤
当地北関東の前橋は、朝方ひとしきり雨が降り、日中は薄曇りの一日。室内で静かにしていれば暑からず、少し動き回ると汗ばむ。東電管内の関東地方は本格的な暑さを前に節電対応の準備中。職場でも、きょうあたりの気温と湿度なら、例年はエアコンを入れるところだが、7月以降の本格的節電を前に、心と身体の慣らし運転中。窓を開けて暑さをしのいでいる。
そんな一日が終り、8時少し前に帰宅。音楽でちょっと気の早い暑気払いはどうかと、古典的な整った響きの音楽が聴きたくなり、ハイドンの交響曲集を取り出した。以前記事に書いた、アダム・フィッシャー指揮オーストリア・ハンガリー・ハイドン管弦楽団による全集版だ。


全33枚の中から今夜引当てたのは、有名な第82番『熊』の他、第83番『めんどり』、第84番を含む盤だ。いつものように、井上太郎氏の本のページをめくりながら聴く。のちのベートーヴェンにみられる、より堅固で大きな曲の構え、より強く激しく深刻な感情の表出、拡大された管弦楽手法などといった点で、ハイドンの交響曲が一段低くみられる向きもあるようだが、ぼくにとってハイドンは、整然した曲の構成と主題の取扱い、和声の緊張と弛緩、転調の妙、そしてリズムの躍動にあふれていて、いつ聴いても音楽を聴く感興にあふれている存在だ。
第82番『熊』は全編躍動感にあふれながらも、時折長調から短調へ転調する経過句では、ぴりっとした緊張感が走る。終楽章の推進力も素晴らしい。ト短調の第83番『めんどり』は、さらに一層深みを感じさせる傑作だ。ハイドンがこの曲を作曲した1786年の2年後、1788年にモーツァルトの有名なト短調の交響曲第40番が出版されている。井上太郎氏も、モーツァルトはハイドンのこのト短調の交響曲を聴いて参考にしていたことは十分考えられると指摘している。
ところで、クラシックギター弾きが取り上げる古典的な曲、ソルやジュリアーニ、カルリ、少し時代が下って初期ロマン派にかかるコスト、メルツ…そうした作曲家の作品をギターで弾くにあたり、クラシックの古典である、ハイドンやモーツァルト、ベートーヴェンやシューベルトといった作曲家の作品に親しむことは、有効かつ必要なことだと感じる。しかしギター弾きに中には、ギター曲だけに親しみ、クラシック音楽一般にあまり興味を示さない人が実は多い。多分、そういう人たちにとってギターは現代の楽器であり、それで奏でる音楽が200年前の音楽だということがイメージしにくいのかもしれない。
少なくても18世紀後半から19世紀半ばにかけてのギター曲の多くは、当然ながら同時期のクラシック音楽と同じ語法の上に成り立っている。ギターでどう弾くかを悩んでいる我々は、まずクラシック一般の音楽に触れ、その語法を耳と感覚で会得することが一番の近道であり、かつ楽しみにつながると思う。加えて200年前のヨーロッパの歴史や風俗をイメージしながら古典曲を弾けば、より楽しみも広がると思う。ハイドンの弦楽四重奏や交響曲はその題材として最適だと思うのだが、どうだろう。
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