ビル・クロウ「さよならバードランド」



時々コメントを寄せてくれる「うぶさん」から少し前のアート・ファーマーの記事にいただいたコメントに、ビル・クロウの自伝の話があったのを思い出し、今夜はこんな盤を取り出した。


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ベースのビル・クロウ(1927-)がリーダーとなったカルテットによるスタンダード集「さよならバードランド」。1995年NJヴァン・ゲルダー・スタジオ録音。手持ちの盤は数年前にヴィーナスレーベルのミドルプライス盤で出たときのもの。収録曲は以下の通り。

1. さよならバードランド、2. シェアー・ア・キイ、3. オーケー、バグ
4. ニューズ・フロム・ブルーポート、5. 枯葉、6. フールズ・ラッシュ・イン
7. ジャスト・フレンズ、8. トライクロティズム、9. マイ・ファニー・ヴァレンタイン
10. ナイト・ライツ、11. ブロードウェイ

ベースを担いだ男がニューヨークの朝もやの中を歩いているジャケットにひかれて買った一枚。何もジャケ買いはオネエサンばかりではないのだ。このベースを担いでいる男が、このアルバムのリーダーでもあるベーシストのビル・クロウ。村上春樹がこのビル・クロウの著書「さよならバードランド」の翻訳したことから、このアルバムのライナーノーツを彼が書いている。その辺もこのアルバムの「売り」の一つだろうか。

第1曲のタイトルチューン「さよならバードランド」からいいスイング感で始まる。このカルテットにはピアノがなく、ビル・クロウのベース、デヴィッド・ジョーンのドラムス、それにカーメン・レギオのテナーサックスとジョー・コーンのギターが加わっている。ピアノレスの編成のためか、軽快にスイングする曲であっても、セッション全体に落ち着きと響きの透明感が支配している。リズム隊としてもベースの役割もよく聴き取れるし、ギターのリフも効果的に響いている。 ビル・クロウの往時の演奏についてはまったく不案内。このヴィーナスレーベルの盤は彼のキャリアのおそらく最後に近いものになるのだろうが、くつろいだ雰囲気と趣味のいいポピュラリティーも重なって、熟した味わいの盤になっている。もちろんヴァン・ゲルダーによる録音も素晴らしい。


この盤の音源。タイトルチューンの「さよならバードランド」


「シェアー・ア・キー」高速で演奏されることの多い有名な「チェロキー」と同じコード進行と使ってボサノバ調に仕上げた一曲。


2016年というからビル・クロウ88歳のとき。力強いベースプレイ。演奏は4分10秒過ぎから。最高だネ!



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Author:マエストロ・与太
ピークを過ぎた中年サラリーマン。真空管アンプで聴く針音混じりの古いアナログ盤、丁寧に淹れた深煎り珈琲、そして自然の恵みの木を材料に、匠の手で作られたギターの暖かい音。以上『お疲れ様三点セット』で仕事の疲れを癒す今日この頃です。

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