ウェス・モンゴメリー「A Day In The Life」
週半ばの水曜日。本年度の業務もほぼ完了し、すでに4月以降の段取りに着手。前期高齢者ゆえ、まあ程々にやりませう…というわけで、本日も5時過ぎに退勤。いつもの時刻に帰宅して、ひと息ついて夜毎の音盤ルーチン。今夜は気分を変えて、こんな盤を取り出した。

ウェス・モンゴメリー(1923-1968)の有名な盤「A DAY IN THE LIFE」。1967年にジャズを大衆化するという目的で設立されたCTIレーベル初期の盤で、ウェス・モンゴメリーのCTI移籍第1作でもある。この盤は当時大いにヒットし、ウェス・モンゴメリーの名は一部のジャスファンだけでなく、広く音楽ファンに知られるようになった。CTIレーベルもまた、その後のイージーリスニング、クロスオーヴァーやフュージョンへの流れを作り出すレーベルとして一気にメジャーに躍り出た。ぼくがこのレコードを買ったのは確か70年代の半ば。すでにクラシックをガンガン聴いていたが、同時にジャズやインストゥルメンタルのポピュラーにも興味を持ち始めていた頃だった。
ウェスのこともCTIのことも印象的なジャケットももちろん記憶にあるが、長らく音盤棚の隅で眠っていた。数年前に久々に聴いてみて「まあ、これも悪くないジャン」と思い起したものだ。アルバムタイトルにもなっているビートルズの曲の他、ポピュラーな選曲、スローロックやボサノバ調といったアレンジ、ウィズ・ストリングスのメロウなサウンド…もちろんジャズのイメージは皆無。これは完全にポピュラーチューンを軽快なリズムにのせて、ウェス・モンゴメリーのギターサウンドで個性を楽しむ盤だろう。有名なオクターブ奏法はもちろんだが、右手親指による独自のピッキングと愛器ギブソンから繰り出される単音のメロディーも太く暖かい音色で、聴けば一度でウェスと分かる個性だ。記事の下に貼り付けたYouTubeの動画でも分かるが、親指による単音のピッキングの音数は多くはなく、速弾きでもないのだが、ハンマリングやプリングのテクニックを駆使して音数を確保すると同時にアーティキュレーションを練られているので、音楽には十分な抑揚がある。
このアルバム、標榜したジャズの大衆化というテーマは結局実らなかったように思う。クラシックもジャズも、敷居を下げて人を呼び込もうとする試みは過去何度も行われているが、結局一過性に終わる。低い敷居は入るだけでなく、出ていくのも容易だ。 この盤がヒットしている真っ最中の1968年6月、ウェス・モンゴメリーは45歳で急逝する。残された演奏をこうしてYOUTUBEで観ていると思うのだが、この個性豊かなギタリストにはストレイト・アヘッドなジャズをもっと弾き続けて欲しかった。
<転向>前の1965年。
<転向>後 1967年
「Eleanor Rigby」
■ にほんブログ村ランキングに参加中 ■
■↓↓↓バナークリックにご協力を↓↓■

にほんブログ村
- 関連記事
-
- サラ・ヴォーン Sarah Vaughan At Mister Kelly's (2020/04/01)
- ジャンゴ・ラインハルト ~In Memoriam~ (2020/03/26)
- ウェス・モンゴメリー「A Day In The Life」 (2020/03/18)
- ビル・クロウ「さよならバードランド」 (2020/03/12)
- エディ・ヒギンス&スコット・ハミルトン「My Funny Valentine」 (2020/02/27)