カラヤンの「幻想」



「幻想祭り」も今夜で一旦終わりにしようと思い、トリを務めてもらうべく、この盤を取り出した。


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ヘルベルト・フォン・カラヤン(1908-1989)とベルリンフィルによるベルリオーズ「幻想交響曲」。1964年録音。手持ちの盤は70年前後に流通していた見開きジャケットのレギュラー盤。はっきりした記憶がないが、例によって出張先の大阪・梅田でひと山いくらで買い求めたものだろう。針を通した形跡のないミント状態で、いま聴いてもわずかなサーフェイスノイズのみのクリアな音が楽しめる。

ぼくが学生時代を送った70年代中庸のカラヤン&ベルリンフィルは黄金期から円熟期へ移行しつつある時期で、60年代に残してきた多くの録音を次々に再録音していた。演奏スタイルは60年代より更に研ぎ澄まされ、楽壇のトップとして流麗かつゴージャスな響きを訴求していた。一方でアンチ・カラヤンも少なくなく、うわべの化粧だけの美しさ、人工的に過ぎる解釈と音響といった評価もなされていた。当時のぼくはことさらアンチではなかったが、どんな曲でもカラヤンでなければということはなく、また好きな曲のベストの演奏にカラヤンをあげることもなかった。74年に再録音された幻想交響曲をFMで聴き、終楽章で「ワルプルギスの夜」を告げる例の鐘の音も寺院の鐘そのものの音響で、随分作為的だなあと感じていたことを思い出す。

今夜聴いているこの64年盤はまだそこまで徹底した(作為的な)作り込みは感じない。もちろん演奏は最初から最後までよく整い、ベルリンフィルの威力と柔軟性を存分に発揮してはいるが、演奏がリアルに進行している感が十分にある。要所要所で炸裂する金管群の響きは重量感に満ちているが、音色そのものは弦楽群や木管群と同様やや暗めで、オケとしてのトーンにはキラキラした作り物感はなく、低重心で渋めの響きがいかにもドイツ的で好印象だ。 クラシックを聴き始めてから半世紀。幻想交響曲に限らず、様々な曲を様々な盤で聴き一喜一憂してきたが、もし今から音盤を集めるという状況だったら四の五の言わず、あらゆる曲を60年代のカラヤン&ベルリンフィルだけで揃えるかもしれない。


この盤の音源。全楽章。


パリ管弦楽団との映像。完全なカラヤンスタイル。1970年カラヤン62歳。
シャルル・ミュンシュを迎えて創設されたパリ管だったが、ミュンシュが急逝。そのあとをカラヤンを引き継ぎ2年間ほどシェフを務め、いくつかの録音も残した。



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