フリッチャイ&ベルリンフィル ドヴォルザーク 新世界より


今週後半は梅雨空一転、猛暑日の連続となった。きょう金曜日、当地関東内陸部はフェーン現象も加わったのか、乾燥した熱風が吹き抜ける一日となり、埼玉県熊谷市では6月として最高記録となる39.7℃、拙宅のある前橋でも38℃近くまで上がった。
さて一週間が終わり週末。先週から続いている左手首の痛みはだいぶ癒え、普通に楽器を弾くには特に支障はないレベルとなった。指を大きく拡張しようとすると少々突っ張る感じがするし、手首からさき全体に重い感じも残っているが、様子をみながらボチボチやっていこう。

ところで、このブログではCDやレコードを聴くごとに駄文を記しているわけだが、このところ気合を入れて音楽を聴くことがめっきり少なくなった。思えば十代後半から二十代半ばの十年間は実によく音楽を聴き、そして吸収した。学生時代にはラジカセに毛の生えた程度のボロオーディオで一日数時間は聴き入った。ブルックナーの8番を聴き、そのあとマーラーの2番を聴き、さらに終楽章はもう一度聴き、あるいはバッハ平均律を全曲聴いたあとで、ベートーヴェンのピアノソナタ第29番『ハンマークラヴィア』を聴き、なんてこともよくあった。多くの曲のフレーズも頭の中に入っていて、曲が始まれば、指揮者よろしく手振り身振りと一緒に、ずっと鼻歌でジョイントできた。昨今は音楽を聴く量は確実に減ったが、当時の貯金のおかげか、久々に聴く曲でも音が流れ始めると一気にその世界に引き込まれ、鼻歌まじりに同化していく。


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そんなことを思いながら、今夜はドヴォルザークの交響曲第9番『新世界より』を取り出した。ぼくの好きな指揮者の一人であるフェレンツ・フリッチャイがベルリンフィルを振った1959年のステレオ録音盤だ。実のところ、新世界をあらためて聴こうという気分にはほとんどならないし、ドヴォルザークの交響曲では9番よりもむしろ8番や7番を好む。にもかかわらず、この盤を取り出したのは、曲はともかく、ひとえにフリッチャイとベルリンフィルのコンビによる演奏・音に触れたかったからだ。このコンビについては以前記事に書いた。同曲の名盤と称されるものはいくつもあって、ことさらこの曲のファンでもないぼくの手元にも、アンチェル&チェコフィル、ケルテス&ウィーンフィル、カラヤン&ベルリンフィル、クーベリック&ベルリンフィル、コンドラシン&ウィーンフィルなどの盤がある。しかし、ここ何年か、この曲を聴こうとしたとき選ぶのは決まってフリッチャイ盤だ。

この演奏、何といってもベルリンフィルの音色が素晴らしい。カラヤン以降、さらにはアバド以降とはまったく別の楽団ではないかと思わせる重量感と深みのある音、そしてアインザッツ。フルトヴェングラーから代替わりしながらも、まだカラヤン色に染まり切っていない時代の『独逸の楽団』の音といったらよいだろうか。第1楽章から音楽は実にゆったり流れる。第2主題のあとに出るト長調のモチーフ(これを第2主題とする論もある)では、ぐっとテンポを落とし、更に付点付の音符にテヌートをかけ、テンポの変化を強調して、見事なギアチェンジが決まる。ドヴォルザークが異国米国でこの曲を作った際の望郷の念をフリッチャイが背負っているかのような曲の運びで、万感胸にせまる、グッとくる解釈だ。第2楽章以降も音楽は終始落ち着いた歩みで進む。弦楽セクションの音は重量感を伴って渋く深く響く。金管楽器群も余裕と底力を感じさせ、木管群もやや古風ながらふくらみのある音色だ。つまり統一された音色感と、音楽の目指す方向とが見事に一致している。

結局のところ、60年代前半のベルリンフィルが素晴らしいというのが、今のところのぼくの結論だ。カラヤン&ベルリンフィルの盤も総じて60年代のものがいい。伝統の独墺様式を残したベルリンフィル、録音技師;オットー・ゲルテスやギュンター・ヘルマンス、録音場所のベルリン・イエスキリスト教会…黄金のトライアングルともいうべきコンビネーションが輝いていたのは60年代までだったといっていいだろう。フリッチャイの『新世界より』はこうした良き時代の産物でもあり、白血病に侵され、度重なる手術を重ねていたフリッチャイ晩年の思いが詰まった演奏でもある。

YouTubeにフリッチャイがスメタナのモルダウを振っている練習光景があったので貼っておこう。
オケはシュトゥットゥガルト放送響だ。



そして、こちらは本番だ。




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マエストロ・与太

Author:マエストロ・与太
ピークを過ぎた中年サラリーマン。真空管アンプで聴く針音混じりの古いアナログ盤、丁寧に淹れた深煎り珈琲、そして自然の恵みの木を材料に、匠の手で作られたギターの暖かい音。以上『お疲れ様三点セット』で仕事の疲れを癒す今日この頃です。

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