メルツ「燕が我が家へ帰る頃」



先月来の在宅勤務シフトで通勤時間がセーブできるため、このところ楽器に触れる時間が増えている。大体は1時間程度と限られた時間ではあるが、それでもあまり間を開けず週に何度か楽器に触れられる。きょうは先日近所の軒先に見つけた、巣作りをする燕を見て思い出し、こんな曲をさらった。


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古典ギター全盛期に活躍したヨーゼフ(ヨハン)・カスパール・メルツ(1806-1856)作曲の小品「燕が我が家へ帰る頃」。原曲は歌曲分野で活躍したドイツの作曲家フランツ・アプト(1819-1885)の同名歌曲。当時大いに流行ったのだろう、同時代人のメルツがギター用に編曲したもの。メルツはロマン派作風のギター曲を多く残しているが、中でもこの曲はアマチュア中級者向けの課題曲として昔から定番曲の一つだ。

この曲を知ったのは大学1年のとき。3つ上の先輩がサークル内のちょっとした発表会で、名器マヌエル・デ・ラ・チーカを使ってこの曲を弾いた。ゆったりとしたテンポとギターの特色を生かしたメロディーライン、穏やかな曲想と後半のいかにもロマン派を思わせる転調が印象に残った。そして何より「燕が我が家へ帰る頃」という曲名が何とも言えず心にとまった。技巧的にはさほど苦労するところはないが、歌曲由来のメロディーラインの歌い方、中間部の転調での曲想の切り替え、移ろう和声に伴う内声部の弾き分け…といったところポイントだろうか。最近はあまり弾かれることのないようだが、穏やかな春から初夏の夕暮れどきを思わせる、不思議と印象に残るお気に入りの一曲だ。


数年前に録音した時のもの(今より10キロ近く太っていた頃…)。久々に聴き返してみるとテンポの遅さが気になる。もう少し速めにすっきり弾いた方がいいかな…。近いうちに再録してみよう。


フランツ・アプトの原曲。美しいドイツリート。



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Author:マエストロ・与太
ピークを過ぎた中年サラリーマン。真空管アンプで聴く針音混じりの古いアナログ盤、丁寧に淹れた深煎り珈琲、そして自然の恵みの木を材料に、匠の手で作られたギターの暖かい音。以上『お疲れ様三点セット』で仕事の疲れを癒す今日この頃です。

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