カーメン・マクレ―「Book of Ballds」
週末土曜日。野暮用あって終日外出。夕方近くなって帰宅した。
梅雨入り前、初夏の夜更け。たまには激甘の音楽でもと思い、こんな盤を取り出した。

カーメン・マクレ―(1922-1994)が歌うラブ・バラードばかりを集めた、その名も「ブック・オブ・バラード」。盤歴の長いカーメン・マクレーの数々の名盤中とりわけ有名な盤だ。この盤を録音した1958年当時カーメンは36歳。いまの感覚で言えばまだまだ若い36歳だが、時代の違いもあってか、この盤のカーメンは当然十分に大人の女性だ。エラ・フィッツジェラルドなどは相当なオバさん年齢になっても時にチャーミングな声を出していたが、カーメンには作ったようなチャーミングさはなく、若くして酸いも甘いも知り尽くしたといったアダルトで包容力のある歌いっぷりだ。ただ大あねごと言っても、酒と煙草で喉もやられた飲み屋の女将風情のようにドスが効いているわけではない。まだ若さの片鱗も残っている。若い女性と大人の女性をどこでどう区別するか、小声で語りたいところだが、(一応)硬派路線のこのブログの自主規制コードを逸脱するのでやめておこう。
曲はスタンダード12曲が収録されていて、いずれも激甘のバラードだ。軽いストリングス伴奏のものと、ピアノトリオ伴奏のものがあって、それぞれに良さがある。甘くささやくような「マイ・ロマンス」、切々と歌い上げる「イズント・イット・ロマンチック」…聴き進んでいくうちに、ちょっとわけありのイイ女が目の前で歌い、自分に向かってささやいているかのように錯覚する。このままこの女とどうにでもなってやれ、え~ぃ!と妙に気が大きくなってしまう。たかが音盤一枚で…カーメンねえさんの面目躍如。参りました。
「By Myself」
「My Romance」
「Isn't It Romantic」
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