クレンペラーのワグナー管弦楽曲集<2>
先日聴いたクレンペラーのワグナー・アルバム。今夜はその続き。

オットー・クレンペラー(1885-1973)とフィルハーモニア管弦楽団によるワーグナー管弦楽曲集の第2集。先回の第1集と同時期の1960年から61年にかけて録音されている。収録場所も同じくキングスウェイホール。収録曲は以下の通り。
1.楽劇「ニュルンベルクのマイスタージンガー」第1幕の前奏曲
2.楽劇「ニュルンベルクのマイスタージンガー」第3幕より”徒弟たちの踊りと親方たちの入場”
3.楽劇「ラインの黄金」より”ワルハラ城への神々の入城”
4.楽劇「ワルキューレ」より”ワルキューレの騎行”
5.楽劇「ジークフリート」より”森のささやき”
6.楽劇「神々の黄昏」より”ジークフリートのラインの旅”
7.楽劇「神々の黄昏」より”ジークフリートの葬送行進曲”
8.楽劇「パルジファル」より第1幕への前奏曲
相変わらず極めて重厚かつクリアな曲作りで、ワーグナーの複雑なスコアに書かれた音を団子にして放り投げるのではなく、一つ一つ分別収集して精緻に並べ直したような演奏だ。精緻に並べたというと、整然としているだけで盛り上がりに欠けるように思われそうだが、そうではない。<重厚かつクリア>という、通常は相反しそうな二つの要素を両立しているところにクレンペラー&フィルハーモニア管の素晴らしさがある。この第2集に関していえば、ニーベルンクの指輪から取られた曲に関して抜粋上(曲の切り出し)の不満があるにはあるし、いくつかの曲はやはり歌も入ってほしいと思ってしまう。それでも「ジークフリートの葬送行進曲」だけでもそうした不満を補って余りある演奏だし、マイスタージンガーやパルジファルは独立した前奏曲なのでその違和感はない。
マイスタージンガーは出だしから悠然としたテンポで始まり、途中更にテンポダウンして一層スケールが大きくなる。こういうテンポ設定になると、オケ側にも精神面・体力面共に相当な負荷がかかるはずだ。フィルハーモニア管の各セッションはそんな不安をまったく感じさせずにクレンペラーの要求に応えていく。そしてそうした音楽を克明に捉えた録音技術もたいしたものだ。クレンペラーの骨格のしっかりした設計図と、それをクリアかつ量感や力感も十分に実現するオケや録音の素晴らしさはよく分かる。
クレンペラーのCDはEMIから度々再発売されていたが、その都度カップリング内容が変わったり値段も上がったり下がったり。紹介したこの盤も2006年に「EMI CLASSICS 決定盤1300」という廉価盤シリーズで出たが、すぐに廃盤となり、その後EMIレーベルがワーナーに統合されたこともあって、あらためて再発されているようだ。
この盤の音源。マイスタージンガー第一幕前奏曲
同。ジークフリートの葬送行進曲 このジャケットはARTマスタリング盤。
伝説にさえなっているテンシュテットとロンドン響来日公演でのジークフリートの葬送行進曲。
5分50秒大きな音と共にテンシュテットが見ていた譜面台が落ちる!6分50秒ではかがみこむようにして譜めくり。
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