P・フルニエのラロとサン=サーンス



月があらたまって令和二年文月七月。今年も半分終了。思えばコロナ禍しか印象に残らない半年だった。コンサートも芝居も公演中止。外出もほとんどなく、仕事も混乱のうちに今に至る。次第に日常を取り戻しつつあるが、かつてと同じ日常は当分望めないかもしれない。残る健康寿命をあと二十年余と見積もる身としては、投げやりになることも、大きな望みをもつこともないが、終息御礼の垂れ幕を見ない日々が半年一年を過ぎていくことはまことに口惜しい。…と、月の冒頭に相応しくない愚痴をこぼしつつも、変わらぬ音盤ルーチン。今夜はしばらく聴いていなかったこんな盤を取り出した。


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ピエール・フルニエ(1906-1986)が彼にとってはお国物ともいうべき仏系協奏曲を二つ、ラロとサン=サーンス第1番、それとブロッホのコルニドライを弾いている盤。オケはともにジャン・マルティノン指揮ラムルー交響楽団。1960年録音。いつ手に入れかまったく記憶にない。段々そんな風に身の回りのものの記憶も薄れつつある。

ラロは異国趣味のスペイン交響曲ばかりが有名だが、このニ短調のチェロ協奏曲は純粋なロマン派作風。第1楽章は雄渾で悲劇的な短調主題と穏やかな長調の第2主題が交錯しながら進む。全体としてはニ短調の調性が支配的。オケとチェロが渾然一体と進む部分が多く、やや主張の明確さに欠けるだろうか。漫然とした感無きにしも非ずといったところ。第2楽章はロマンティックで美しい間奏曲。第3楽章はベートーヴェンの第7交響曲を思わせる付点音符によるリズムが印象的で、この曲の中でももっとも聴き応えがある。チェロもオケパートから抜け出て響きやすい音域が与えられ闊達に歌う。

ラロのあとに聴くサン=サーンスの協奏曲はさすがに名曲の貫禄たっぷり。第1楽章からチェロとオケパートのバトンタッチや、まさに競い合い=コンチェルトがよく出来ている。第2楽章のメヌエット風スケルツォは趣味のいい貴族風の典雅な趣き。アタッカで演奏される終楽章もオケパートの、特に木管群の扱いが効果的で、さすがはサン=サーンスと思わせる。

チェロの貴公子フルニエの演奏はどこまでも正統派で終始穏やかで堅実な弾きぶりだ。50代半ばの録音だから心技とも充実の時期だったろう。<松脂が飛び散るような>といった熱っぽさはないが、何でも激情的に感情移入して弾くのがリアルでカッコイイというわけでもない。こうしたノーブルさも今となっては貴重だ。


この盤の音源。ラロのチェロ協奏曲ニ短調第2楽章。


フルニエのライヴ映像@1969年。サン=サーンス:チェロ協奏曲第1番イ短調。



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