グノー 歌劇<ファウスト>バレエ音楽



先日、通勤途上で聴いていたNHKFMでグノー作曲の歌劇<ファウスト>のバレエ音楽が流れていた。何気なく聴いていたのだが、その美しい旋律にあらためて心を打たれ、帰宅後、手持ちの盤を取り出した。


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パリの喜び~小澤征爾/フランス音楽コンサートと題された一枚。小澤征爾指揮ボストン交響楽団による演奏による1986年の録音。手持ちの盤は十年程前にグラモフォンの廉価盤で出たときのもの。収録曲は以下の通り。

シャブリエ:狂詩曲≪スペイン≫
グノー:歌劇≪ファウスト≫-バレエ音楽
 1.ヌビアの踊り
 2.クレオパトラと黄金の杯
 3.ヌビア奴隷の踊り
 4.クレオパトラとその奴隷たちの踊り
 5.トロイの娘の踊り
 6.鏡の踊り
 7.フリネの踊り
トマ:歌劇≪ミニョン≫序曲
オッフェンバック:バレエ≪パリの喜び≫
 序曲、ポルカ、 アレグロ、 ワルツ、 アレグロ・ヴィヴォ、 ワルツ、
 アレグロ・ヴィヴァーチェ・ミステリオーソ・レント、ワルツ・モデラート
 カンカン、ヴィヴォ、 舟歌

音楽にひっかけて人生を語るつもりはまったくないのだが、聴いていて幸せな気分になる音楽がある。シャルルグノー(1818-1893)のこのバレエ曲やいくつかのウインナワルツなどは、その筆頭ではないかと思う。バレエ音楽の多くが当然ながら舞踏の付帯音楽として作られ、従って一般的には主役は踊り、音楽は脇役ということになる。脇役の気安さからか、バレエ音楽はカジュアルで親しみやすく、すんなりと耳に入る音楽が多い。いわゆる絶対音楽とは違って、絵画的様相や物語のイメージも持ちやすい。グノーのこの曲もその典型だろう。

ゲーテの原作に対するイメージをどれほど表現しているかぼくにはよく分からないが、ベルリオーズの作品を待つまでもなく、ときにおどろおどろしいイメージが付きまとう<ファウスト>だが、このグノーのバレエ曲はそうしたイメージとは違った<ファウスト>の一面が表現されているように思う。15分程の組曲の体裁になるが、どの曲を聴いても楽しく、心なごむ。
第1曲<ヌビアの踊り>は冒頭、ヴェルディ<運命の力>序曲を思わせる金管のユニゾンで始まるが、すぐに可憐なメロディーが出てくる。以降も19世紀クラシック音楽の美しい和声感と旋律のオンパレード。フランス風といっていい洗練された響き。それらを効果的に表現した管弦楽技法。これぞクラシック音楽の精華といっていいかもしれない。エキゾティックな<ヌビア奴隷の踊り>。もっとも知られる<トロイの娘の踊り>は以前NHKFM午後のクラシック番組テーマ曲だったし、他の曲もいずれもどこかで聴いたことのあるメロディーだろう。
チェリやヴアントあるいは無伴奏曲で内省的に向き合うもよし。こういう曲を万事ハッピーに聴くもよし…。明日もまた、心穏やか楽しく過ごしたいという気持ちになってくる。


この盤の音源。第1曲<ヌビアの踊り>


同 第5曲<トロイの娘の踊り> 30秒過ぎからお馴染みのメロディが。


第1曲<ヌビアの踊り>をバンドリアで弾いているオジサン。


バレエ舞台はこんな感じのようです。



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Author:マエストロ・与太
ピークを過ぎた中年サラリーマン。真空管アンプで聴く針音混じりの古いアナログ盤、丁寧に淹れた深煎り珈琲、そして自然の恵みの木を材料に、匠の手で作られたギターの暖かい音。以上『お疲れ様三点セット』で仕事の疲れを癒す今日この頃です。

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