バッハ カンタータ BWV105「主よ、汝の下僕の審きにかかずらいたもうなかれ」



久々にバッハのカンタータを聴く。
一昨日の日曜日が三位一体節後第9週にあたることから、この日に関わる曲としてこの盤を取り出した。


202008_Bach_BWV105.jpg


三位一体節後第9日曜日にちなむカンタータはライプツィッヒ時代の三曲(BWV94,105,168)。例のブリリアント版バッハ全集からBWV105の収められた一枚を取り出した。「主よ、汝の下僕の審きにかかずらいたもうなかれ」あるいは「主よ、裁かないでください」といった題名が付される。曲は以下の6つの部分から成る。

第1曲 合唱 アダージョ‐アレグロ ト短調
第2曲 レチタティーヴォ(アルト)
第3曲 アリア(ソプラノ) 変ホ長調
第4曲 レチタティーヴォ(バス)
第5曲 アリア(テノール) 変ロ長調
第6曲 コラール(合唱) ト短調

冒頭第1曲の合唱から不安と悲劇性を感じさせる曲想が展開される。引きずるような通奏低音、<溜め息音形>の連続はまるで受難曲のようだ。後半はテンポを上げて素晴らしいフーガが続く。アルトのレチタティーヴォをはさんで、この曲の聴きどころともいえる第3曲ソプラノのアリア。オーボエのオブリガートを伴い、弦楽群が刻む細かな音形にのって、美しくもはかない旋律が歌われる。この曲では通奏低音は省かれて、高音域中心の音形であることが、美しい中にもどこか不安な表情を与える。第5曲は晴れやかなテノールのアリア。ヴァイオリンの装飾的な音形が印象的だ。そして終曲では再びト短調に戻って、荘重なコラールが歌われる。ここでもヴァイオリン群の音形が印象的で、冒頭16分音符の刻みであったものが8分3連音符となり、次第に音価を広げながら静かに曲を閉じる。不安と悲劇、厳粛と敬虔、そんなことを感じながらも、どこか心やすらぐ名曲だ。

ブリリアント版全集のピーター・ヤン・レーシンクとネザーランドバッハコレギウムによる演奏は、例によって合唱(特にボーイソプラノ)にやや難有りだが、彼の地の日常的なバッハ演奏として聴く分には不足はない。


百年の歴史をもつネザーランド・バッハ・ソサエティによる演奏。指揮しているのは同団の音楽監督だったヨス・ファン・フェルトホーフェン。現在は1stヴァイオリンを弾いている日本人の佐藤俊介が受け継いでいる。同団のYouTubeチャンネルには多くのバッハ演奏がアップされている。


第3曲ソプラノのアリア。バッハ作品の中でももっとも美しいアリアの一つといわれる。



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Author:マエストロ・与太
ピークを過ぎた中年サラリーマン。真空管アンプで聴く針音混じりの古いアナログ盤、丁寧に淹れた深煎り珈琲、そして自然の恵みの木を材料に、匠の手で作られたギターの暖かい音。以上『お疲れ様三点セット』で仕事の疲れを癒す今日この頃です。

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