セル&クリーヴランド管 ブラームス 交響曲第3番
きょう土曜日もも蒸し暑い一日だった。野暮用外出から戻り、日暮れて夕飯と風呂を済ませる。そして昨日に続けて、セルとクリーブランドを聴こう。
昨日の記事に登場してもらったA氏と話をしていて、ブラームスの交響曲は何番が好きかという話題になった。この手の問答はクラシックファンであれば楽しくかつ真剣な話題となるのだが、ブラームスのシンフォニーに関してはかなり答えにくい。何故なら4つの交響曲がいずれも素晴らしいからだ。このブログでも過去1番と4番については記事に書いた。では2番や3番が次点に落ちるのかと言われると、ちょっと待ってくれと言いたくなる。A氏も同様にどれもいいんだよなと言いつつ、あえて選べば3番だという。さもありなん。というわけで、今夜はセル&クリーヴランドによる、ブラームスの第3交響曲を聴くことにした。

3番は渋好み、というのが一般的な世評だ。実際、3番はどの楽章も最後が静かに終わる。派手さはないし、劇的な場面もあるにはあるが、それがウリではない。しかし聴けば聴くほどの味わい深く、曲の隅々にまでロマン派でありながら古典的構成を重視したブラームスの本領が発揮されていると言ってもいいだろう。
セルとクリーヴランド管の演奏はいつもながら整ったアンサンブルとバランスで、ピチカートひとつにも神経が行き届いている。弦楽群は透明感が抜群で音がダンゴにならない。この曲で好きな箇所である第2楽章の終わり、切々と弦が歌うフレーズなど、このコンビならではの透明かつ芯のある音色とセルの熱情とが合さり、一層胸を打つ。映画音楽に使われた第3楽章でも、セルは途中弱音効果を生かしながら、ブラームスが書いたメロディーの中で最も美しいものの一つであるこの主題を大事に歌っていく。終楽章もこのコンビの良さが曲を支配している。激情的なフレーズも気合十分ながら、決して音が混濁せず、見通しがいい。セルとクリーヴランドの60年代の録音は、エピックというクラシックとしては少々マイナーなレーベルから出ていたこともあって、同時期の独グラモフォンなどと比べるとやや聴き劣りはすると言われていた。しかし70年代に廉価盤で再発された手持ちの盤(リサイクル店の100円コーナーで捕獲)では、コントラバスの最低音もしっかり入っているし、録音のわずかばかりの劣勢を完全に払拭しているもは、セルの解釈とオーケストラコントロールの賜物だろう。この盤にはハイドン・バリエーションも併録されているが、こちらは更にこのコンビによるオーケストラとしての機能性が前面に出て、素晴らしい演奏に仕上がっている。ハイドン・バリエーションは、聴くたびにその巧みな音楽の運びに感動する。
昨日の記事同様、セルの動画を探したが、ウィーンフィルを振り、グルダと合わせているベートーヴェンの皇帝があったので貼っておこう。クレジットには1966年収録とある。場所はお馴染み、ウィーンフィルの本拠地ムジークフェラインの大ホールだ。
↓↓にほんブログ村ランキングに参加中↓↓
↓↓↓↓ワンクリックお願いします↓↓↓↓

にほんブログ村
- 関連記事