R・ケンペ&BBC響 1974年ライヴ



週末日曜日。淡々と過ぎゆく前期高齢者の夏。ああ、青春時代はあの夏の日は何処へ…
などと、馬鹿な感慨にふけりつつ、青春の響きを感じさせてくれそうな曲を聴こうかと、こんな盤を取り出した。


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ルドルフ・ケンペ(1910-1976)がBBC交響楽団を振った演奏。46年前のちょうど今頃1974年8月30日、ロイヤル・アルバート・ホールでのライヴ録音。1974年8月か…青春真っ只中、大学1年の夏だったなあと思い出したついでに、Wikipediaでその年の8月の出来事をひろってみると、こんな具合だ。

8月8日 ウォーターゲート事件でニクソン米大統領辞任。フォード副大統領が大統領昇格。
8月11日 山形空港の開港10周年記念のイベントでスカイダイビング死亡事故発生。
8月15日 ソウルで朴大統領狙撃事件(文世光事件)。
8月15日 津川雅彦長女誘拐事件(翌8月16日に誘拐犯が逮捕され、人質は保護)。
8月19日 第56回全国高校野球選手権大会は千葉・銚子商業高校が大会初優勝。
8月28日 神奈川県平塚市でピアノ騒音殺人事件。
8月29日 『ベルサイユのばら』が宝塚大劇場で初演(大ヒットになり、以後宝塚歌劇団の代表作の一つに)。
8月30日 東京・丸の内の三菱重工業本社で時限爆弾爆発(三菱重工爆破事件)。

呑気な学生時代で世情にも疎かったろうが、いくつかの出来事は記憶にある。津川雅彦長女の誘拐時間、朴大統領狙撃、銚子商業の優勝(このときの三塁手がのちの巨人:篠塚だった)、当地から出場した前橋工業高校が準決勝まで進み、優勝した銚子商業に敗れたっけ、そのときの前橋工業エースが向田佳元。その後早大~富士重工と進み社会人野球でも活躍したなあ、三菱重工本社爆弾爆発…丸ノ内が騒然となった。


閑話休題。
さてこの盤。しばらく前、といっても二十年近く前だが、BBCの放送録音ライヴラリーからCD化されたシリーズ中の1枚で、ブラームスの4番とシューベルトの5番が入っている。そのうち、きょうはシューベルトを聴いている。これまでもシューベルトの5番は何度か記事に書いている。何よりシューベルトの交響曲の中でももっともお気に入り一曲だからだ。全4楽章がシンプルながらもそれぞれ独自の美しい歌にあふれる。ぼく自身は「未完成」や「ザ・グレート」より気に入っている。穏やかで爽やかな曲想で美しい歌に満ち、和声の移ろいも程よく機知に富む。「青春」そのものだ。。

ケンペとBBC響の演奏は横へ流れるフレーズが滑らかで美しいし、第1楽章などはメリハリも効いていて中々若々しい演奏だ。もっとも音色感はやや渋めのよくブレンドされた響きで、流麗ではあるが軽い感じはない。低弦群も充実した響きでヨーロッパの伝統を感じる。箸休め的になりがちな第3楽章メヌエット(実質スケルツォ風だが)なども聴きどころの連続で飽きることがない。


この盤の音源。全楽章。



以下はフランスの指揮者マルク・ミンコフスキーと彼が設立した<ル・ミュジシャン・ドゥ・ルーブル>の演奏で全曲。バロック・ファゴット出身の彼らしく、古い形式の楽器を使いオケのピッチも低め。しなやかかつフレッシュに歌う。
第1楽章はソナタ形式のお手本。ごく短い導入句ののち第1主題の提示(0:12~)、続いて第2主題の提示(1:14~)。提示部が2:08に終わり、繰り返しで冒頭へ戻る(~4:11)。4:12から経過句を経て展開部へ。第1主題を様子を探るように繰り返し、4:30前後から本格的に展開が動き出す。展開部はごく簡素で、5:06には再現部となって第1主題が奏される。



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Author:マエストロ・与太
ピークを過ぎた中年サラリーマン。真空管アンプで聴く針音混じりの古いアナログ盤、丁寧に淹れた深煎り珈琲、そして自然の恵みの木を材料に、匠の手で作られたギターの暖かい音。以上『お疲れ様三点セット』で仕事の疲れを癒す今日この頃です。

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