プレスティ&ラゴヤ



先日聴いた「ジュリアン&ジョン」で思い出し、きょうはこんな盤を取り出した。


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モダンギター二重奏の元祖ともいうべきプレスティ&ラゴヤの盤。音盤棚をさっと見回したところ写真の2枚が見つかった。1枚は「プレスティ=ラゴヤ クラシックギター名曲集」と題された「豪華見開きジャケット」(…と帯に書いてある!)のフィリップス盤(日本ビクター発売)、もう1枚は「二つのギターと弦楽のための協奏曲集」と題されたフォンタナ・レーベル(日本フォノグラム発売)の廉価盤。前者は60年代終わりのもの、後者は70年代半ばのもの。共に手に入れたのは十数年前のことで、例によって出張先の大阪梅田の中古レコード店で見つけたはずだ。

イダ・プレスティ(1924-1967)とアレクサンドル・ラゴヤ(1929-1999)のデュオコンビは50年代から活動を開始し、プレスティが亡くなる1967年まで多くのコンサート、録音で活躍した。ぼくがクラシックギターを始めたのが70年初頭だから、二人の活躍をリアルタイムで知っているわけではない。ただ当時から睦まじい夫婦によるギターデュオとして、その録音は度々FMで流れ、雑誌にも載っていたので、親しみをもって接してきた。残された録音も多く、数年前にかつての録音がまとまって復刻された。

手元の日本ビクター盤にはファリャ、アルベニス、グラナドス等の近代作品の編曲物が、また日本フォノグラム盤にはハイドン、ヴィヴァルディ、マルチェルロらバロック期の協奏曲が収められ、クルト・レーデル指揮ミュンヘン・プロ・アルテ管弦楽がバックと付けている。もちろん協奏曲といっても原曲はギターのためではなく、マンドリン(ヴィヴァルディ)やオーボエ(マルチェルロ)のために書かれている。ハイドンの曲が少し珍しく、リラ・オルガニツァータ(手廻しオルガン風の楽器)のために書かれたもの。


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ギター用の書かれたオリジナルの二重奏曲としては、19世紀古典ギター隆盛期に書かれた多くの作品があって、このコンビもその中からフェルナンド・ソルやフェルディナンド・カルリなどの定番作品も録音している。しかし、このコンビあるいは以降「ジュリアン&ジョン」を含め、モダンギターによる二重奏が愛好家に取り上げられ、一般の音楽ファンにも親しまれるようになったのは、やはり編曲物があってのことだろう。特に近代スペインのファリャ、アルベニス等の編曲物はギター用のアレンジによく馴染み、ギターの特性が生かされるものが多い。特にこのコンビの演奏表現を聴くと、感興の乗った自在な弾きぶりや軽快な指さばきなど、こうした近代曲のアレンジがよくあっているように感じる。一方で、バロックからの編曲などは、ギター愛好家にはもてはやされるが、純粋に音楽として聴くにはギターである必然性はあまり感じない。またソルやカルリといった19世紀のギターオリジナル作品であれば、今日のように当時のオリジナル楽器(またはそのレプリカ)を使った、よりオーセンティックな演奏の方が好ましく感じる。

このコンビの演奏からは、50年代から60年代という時代性を感じると同時に、モダン楽器を使った今日のクラシックギターおよそ百年の歴史の中で誕生した、モダン楽器によるギター二重奏という形式の一つの完成形がすでにあるように感じる。


ファリャ「スペイン舞曲第1番」


ファリャ「火祭りの踊り」


ハイドンの協奏曲第1楽章


こちらがハイドンのオリジナル「2つのリラ・オルガニツァータのための協奏曲ト長調」(但しオルガン使用)



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ヘンデルのシャコンヌ

プレスティ•ラゴヤを初めて知ったのは、ギター部の演奏会で先輩がヘンデルのシャコンヌを弾いて、このやたら難しい2重奏はなんじゃと。レコード買って聴くと悲しいかな先輩の2重奏は当然ですがとてもとても足元にも及ばぬこと、この2人の2重奏が素晴らしくというのが思い起こされますね。
今はネットでいろいろな個性的な2重奏も聴ける時代ですが、当時はクラシックギターの2重奏は余りというかプロでは珍しかって
たように思いますね。

Re: ヘンデルのシャコンヌ

通りすがりさん>
こんばんは。コメントありがとうございます。
残された録音や映像等から察するに、上品で上質な二重奏として、とても品格ある雰囲気だったに違いありません。今のアラカン世代にとって、ギター二重奏の洗礼といえばジュリアン・ブリームとジョン・ウィリアムスでしたが、その前にこの二人の存在があったがゆえに、ジュリアン&ジョンも世に出ることになったのだろうと思いますね。
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音楽とクラシックギターに目覚めて幾年月。道楽人生成れの果てのお粗末。

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