J・ウィリアムスのバリオス



シルバーウィーク四連休の最終日。宅内アレコレで終了。夜半前になってホッとひと息音盤タイム。今夜はこんな盤を取り出した。


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ジョン・ウィリアムズ(1932-)がバリオスの作品だけを入れた盤。ジョンは90年代に入ってバリオス作品を再録しているが、このLPは70年代半ばの最初の録音。当時クラシックギター弾きの間でバリオスが人気となってきた頃のもの。大聖堂、郷愁のショーロなど、ちょうど学生時代真っ只中だったぼくもせっせと弾いた記憶がある。その後バリオスは次第にクラシックギターのレパートリーとして定着し、そのギター的な音使いや親しみやすい曲想から、現在も人気が高い。その意味でこのジョンのレコードはその後現在まで続くバリオス人気のバックボーンを成した一つのマイルストーンとも言える。収録曲は以下の通り。

<A>
大聖堂
マドリガル(ガヴォット)/メヌエット/マズルカ・アパッショナータ/
練習曲/前奏曲/森に夢見る
<B>
ワルツ第3番/クエカ/サンバのしらべ/マシーシャ/
最後のトレモロ/郷愁のショーロ/クリスマス・キャロル

かなりデッドな音響の録音。この盤の少し前に出た「アストリアス」でのやや過剰な残響とは対照的だ。それでも音のバランスは良好。大聖堂の第1曲<宗教的なアンダンテ>では、当時使っていた楽器イグナシオ・フレタの男性的な重低音がどっしりと響く。全体的にはジョンらしい端整な演奏で、細かなタッチまでよく聴き取れる。

今も人気の高いウルグアイ生まれのアグスティン・バリオス=マンゴーレ(1885-1944)。人気の大きな理由はそのポピュラリティーだ。ジョンはバリオスを称してギター界のショパンだと言っているが、それは少々言い過ぎのような気もする。そういう発言を聞いてしまうと、ジョンはその程度にしかショパンを聴いていないのかと、少しがっかりもする。しかしまあ、そう目くじら立てず、中南米風サロン音楽、バッハ模倣…として聴いていればそれ以上も望まない。今や「クラシックギター」と称する、その「クラシック」に対する認識も様々だ。バリオスがクラシックギターの代表的レパートリーと言われる現実も、むべなるかなというところだろうか。


ジョン・ウィリアムズの弾くバリオスのワルツ第3番。楽器をスモールマンに換えた後年の演奏。


前奏曲ト短調


期待の新人:大谷恵理架による「フリア・フロリダ」 使用楽器はハウザー1世1937年作



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Author:マエストロ・与太
ピークを過ぎた中年サラリーマン。真空管アンプで聴く針音混じりの古いアナログ盤、丁寧に淹れた深煎り珈琲、そして自然の恵みの木を材料に、匠の手で作られたギターの暖かい音。以上『お疲れ様三点セット』で仕事の疲れを癒す今日この頃です。

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