A・シフのバッハ
今週で十月も終わり。相変わらず淡々と日々が過ぎる。
週明け月曜日。いつも通りの時刻に帰宅。ひと息ついて夜毎の音盤ルーチン。今夜はこんな盤を取り出した

アンドラーシュ・シフ(1953-)の弾くバッハ;パルティータの英デッカLP盤。シフの弾く一連のバッハ演奏はかなり前にCDを手に入れ、一時期よく聴いていたのだが、十年程前の大阪出張の折、例によって梅田の中古レコード店を覗いた際、LPセットが目にとまり買い求めた。
評判通り「歌うバッハ」であるこのシフの演奏。実はその後あまり聴いていない。解釈がロマンティックに寄り過ぎているのが鼻につくようになったからだ。1983年9月に録られたこの録音はデジタル録音の初期とも言える頃で、英デッカにしてはLP・CDとも少々音の抜けが悪く鮮度感に乏しい。残響も多めで、曲の解釈と合わせて、いささかBGM的なのだ。もちろんグールドのバッハとはまったく世界が異なるし、美しい音色でよく歌いながらも中庸をいくマレイ・ペライアのバッハの方が音楽として正対して聴ける。
と、こんな風に書くとシフのバッハは真剣に聴く対象でないかのように思われてしまうが、決してそうではない。「歌うバッハ」としてのシフの演奏はワン・アンド・オンリーに違いなく、こうして夜更けに聴いているとすこぶる安堵を覚える。グールドやペライアと刺激される脳の中の部位が異なるとでもいったらいいだろうか。とりわけ、このパルティータ全曲や、豊かなメロディーにあふれるフランス組曲はシフのよさが出たいい演奏だ。
この盤の音源。パルティータ第1番変ロ長調の第1曲「プレリュード」
同 第2番ハ短調の第1曲「シンフォニア」
ギターによる演奏。パルティータ第1番全曲。
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