チョイと宅録 佐藤弘和「音楽のおもちゃ箱」より



少し前に佐藤弘和「音楽のおもちゃ箱」の紹介兼ねて1曲アップしたが、きょうはその続き。


202011_Works_of_SatoHirokazu.jpg


写真は近年、現代ギター社から発刊された佐藤弘和氏の作品集だ。佐藤氏が50歳の若さで亡くなったのが4年前、2016年の暮れだった。佐藤氏の楽譜は以前、ホマドリーム社から多く出版されていたが、同社の事業が停止となってから、その行方が心配されていた。幸い現代ギター社によって以前の出版譜の多くが復刻され、またいくつかの新しい楽譜が立て続けに出てきて、胸を撫でおろした輩も多いのではないだろうか。

写真の4冊はおおむねアマチュア初級から中級レベルを想定したと思われる内容。中では「青空の向こうに」が少し難易度が高い曲が並んでいる。いずれも見開き1ページか2ページの小品で、楽譜をサッと開いてサクサクと弾いて楽しむには絶好の曲集だ。

ひと昔前まで初級者向けの小品というと、19世紀古典ギター全盛期のカルリ、ジュリアーニ、ソルなどの作品、下って19世紀末から20世紀初頭のタレガ他のロマン派スタイルの小品と相場が決まっていた。それらの作品の良さも価値も十二分に認識しているつもりだが、現代の新しい感覚でギターに向かう、特にクラシック音楽そのものに格別の関心がない層にとっては、そうしたかつての曲が「つまらない」ものと感じられ、やがてギターから離れてしまうケースがあることも理解できる。佐藤作品はそんな状況に対する得難い処方箋にように感じる。ド素人のぼくなどが論評する立場ではないが、佐藤氏の作品に登場する多くのフレーズ、和声、展開は、現代の世に同様のサンプルがあふれている「よく耳にする」ものが多い。それをギターという制約の多い楽器で、しかも初心者向けに限られた技巧レベルの範囲で実現しているところが、一連の佐藤作品とくに小品群の素晴らしいところだと思う。

今回は今年初め2020年1月に出た「音楽のおもちゃ箱」から3曲を選んで録音してみた。いずれも1分前後の小品。初級者が少しトライすれば演奏できる技巧レベルながら、今風の響きが織り込まれ、十分楽しめる作品になっている。


「愛の歌」
開放弦の響きを生かし、少ない音数ながら和声の移ろいを感じて楽しめる。


「アルバムの綴り」
初級者には少し練習が必要かもしれない。この曲も開放弦の余韻を生かしたアルペジオにのせて、ごくシンプルなメロディが流れる。


「ブルーベリー・ワルツ」
現代版「金鳳花ワルツ」といった感じ。



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Author:マエストロ・与太
ピークを過ぎた中年サラリーマン。真空管アンプで聴く針音混じりの古いアナログ盤、丁寧に淹れた深煎り珈琲、そして自然の恵みの木を材料に、匠の手で作られたギターの暖かい音。以上『お疲れ様三点セット』で仕事の疲れを癒す今日この頃です。

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