ホロヴィッツのスカルラッティ



気付けば11月も半ば。朝の通勤路で見かける街路樹も欅は葉を落とし始め、代わって銀杏が黄金色に輝く頃となった。さて週半ばの木曜日。本日も技術立国日本のため業務に精励。7時過ぎに帰宅。ひと息ついて、今夜はこんな盤を取り出した。


202011_Horowitz_Scarlati.jpg


ウラディミール・ホロヴィッツ(1903-1989)が弾くドメニコ・スカルラッティ(1685-1757)のソナタ集。1964年の録音で彼の盤歴あるいはスカルラッティの演奏を語るとき必ず登場する盤でもある。手持ちの盤は80年代初頭に買ったLP盤。収録曲は以下の通り。現在出ているCDではさらに数曲が追加されているようだ。

side-A
1.ソナタ ニ長調L.424 / 2.ソナタ イ短調L.241 / 3.ソナタ ヘ長調L.188
4.ソナタ ヘ短調L.118 / 5.ソナタ ト長調L.349 / 6.ソナタ ニ長調L.465
side-B
1.ソナタ ホ長調L.21 / 2.ソナタ変ホ長調L.203 / 3.ソナタ ホ短調L.22
4.ソナタ ニ長調L.164 / 5.ソナタ ヘ短調L.187 / 6.ソナタ イ長調L.391

ホロヴィッツの熱心なファンでもなく、イタリアンバロックに特別な興味があるわけでもないので、この盤について多くを語る資格も知見もないのは我ながら残念…そう地団駄踏みたくなるくらいこの盤は曲も演奏も中々チャーミングだ。いずれの曲もスカルラッティが極めたチェンバロの魅力と可能性にあふれた作品群だが、19世紀的ヴィルティオーゾの系譜を受け継ぐホロヴィッツがモダンピアノを駆使し、ロマンティック様式ながら、どちらかといえば音色をモノトーンに抑えて淡々と弾いている。しかし時々見せる切れ味のいい技巧はさすがで、何とも軽妙かつ自在に音符を操っている感じがする。音が跳躍する曲、横に流れる曲、陽気でコミカルな曲、悲しみ湛えた叙情的な曲、それぞれに味わい深く、その作品の個性をよく伝えてくれる。

スカルラッティのソナタは昔からギター用の編曲譜がいくつか出ていて、ギター弾きにも馴染みの曲が多い。ぼくもときどき楽譜を広げて下手なりに楽しんでいるが、原曲が持つ鍵盤楽器での軽妙な味わいをギターで再現するには相当な技巧が求められ、中級程度のアマチュアでは中々歯が立たない。


L.33(K.87) 1986年、60年ぶりに訪れたモスクワでのライヴ映像。巨人晩年の至芸というべきか。もちろん完全にロマンティックスタイル。ショパンかと思うほど(^^;


同じくL.23


ギターソロによるL.87 ウラディミール・ゴルバッハが使っているギターは、METのコレクション。1967年製ホセ・ラミレス(MTマーク) クリストファー・パークニングが使っていた楽器とのこと。


ギターデュオによるL.23の演奏。ギター2本ならば原曲のフレーズと和声を無理なく再現できる。



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Author:マエストロ・与太
ピークを過ぎた中年サラリーマン。真空管アンプで聴く針音混じりの古いアナログ盤、丁寧に淹れた深煎り珈琲、そして自然の恵みの木を材料に、匠の手で作られたギターの暖かい音。以上『お疲れ様三点セット』で仕事の疲れを癒す今日この頃です。

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