J・トゥリーナ 「ヴァイオリンとピアノのための音楽集」
三連休初日の週末土曜日。野暮用あれこれで日が暮れる。夜半前になって一服。音盤棚を見回し、こんな盤を取り出した。

近代スペインの作曲家ホアキン・トゥリーナ( 1882-1949)が書いたヴァイオリンとピアノのための作品を集めたナクソス盤。何年か前に一度記事にしたことがある。エヴァ・レオン(Vn)とホルディ・マソ(Pf)というコンビによる2007年録音。収録曲は以下の通り。トゥリーナが書いたヴァイオリンとピアノのための主要作品が収められている。
・ヴァイオリン・ソナタ第1番 ニ短調 作品51
・ヴァイオリン・ソナタ第2番「スペイン風」ト短調
・アンダルーサのムーサたちより第2番「エウテルペ」
・ヴァイオリンとピアノのための幻想曲「サンルーカルの娘の詩」
・ヴァイオリンとピアノのための「古典的変奏曲」
トゥリーナはクラシックギター弾きには馴染みのある作曲家だ。彼が書いたギター曲は、数こそ多くはないがコンサートでもよく弾かれる。<ファンダンギーリョ> 、<ラファガ>など、フラメンコ風の奏法も使われ、スペインの乾いた空気を感じさせる印象的な曲だ。
トゥリーナは若い頃、十年近くフランスで音楽を学んだそうだ。彼の親友だったというファリャなど、スペインの他の作曲家とよく似たキャリアだ。当然ながら、ラヴェルやドビュッシーといった仏印象派の影響を受けているのだが、例えばフェデリコ・モンポウなど比べると、スペインの民族色がより強く感じられる。収録された曲はいずれも豊かな詩情あふれる歌に満ちている。
ヴァイオリン・ソナタの第1番、冒頭ニ短調のモチーフで決然として始まるが、すぐに緩やかな空気が広がるような美しい旋律が歌われる。ヴァイオリンが主役のソナタだが、伴奏のピアノもすこぶる雄弁に書かれていて活躍する。第2楽章Lentの指示があるアリア。スペインの文化や風土を語るとき出てくる言葉「光と影」とそのまま音楽にしたような、美しいうつろいの楽章だ。第3楽章のロンド・アレグレットも、無邪気にラウンドする音楽ではなく、どことなくうつむき加減のところがいい。ソナタ第2番はその名の通りスペイン色がより強いが、これもどこか控えめな雰囲気を持つ。「サンルーカルの娘の詩」は幻想曲を名付けられているように、より自由なインスピレーションの発露が感じられる。
演奏しているヴァイオリンのエヴァ・レオンは下に貼ったYOUTUBE音源でも分かる通りのエキゾチックなラテン系美女。演奏も過度にスペイン風を押し出すことなく、トゥリーナのやや控えめでうつろい気味の曲想をよく表現している。
この盤の音源。トゥリーナのヴァイオリンソナタ第1番第1楽章。
この盤のエヴァ・レオンがお馴染みアルベニス「アストゥリアス」を弾いている。
ヴァイオリンソナタ第2番第2楽章
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