メルヴィン・タンのベートーヴェン
先回の記事で久しぶりにベートーヴェンのピアノ協奏曲を聴き、やっぱエエなあ、ベートーヴェン…と、いくつかの盤を立て続けに聴いてしまった。そんな中の一枚として、今夜はこんな盤を取り出した。


メルヴィン・タン(1956-)のフォルテピアノ、ロジャー・ノリントン指揮ロンドンクラシカルプライヤーズによるベートーヴェンのピアノ協奏曲全集。80年代後半の録音。ピアノ協奏曲全曲と同じベートーヴェンの交響曲全集を合せたボックスセット。10年近く前に隣り町のタワーレコードで廉価盤CD1枚分の値段で叩き売られていた。今夜はこの中から第4番ト長調をプレイヤーにセットした。
ぼく自身は、5つあるベートーヴェンのピアノ協奏曲の中では第3番と並んでこの第4番をもっとも好ましい曲と感じていて、実際にプレイヤーする頻度も高い。全曲を貫く透明感、静けさ、落ち着き、憧憬…ベートーヴェンの数から楽曲に中でも独自の魅力を放つ曲だ。このコンビゆえのピリオドスタイルも第4番にこそ似つかわしい。
メルヴィン・タンが弾くフォルテピアノの音は歯切れよく、高速のスケールやアルペジオでも一つ一つの音が明瞭の分離し、ときおり放たれるアクセントでは鋭いくさびを打ち込む。また左手の打弦は思いのほか深い低音を響かせる。こうしてあらためて念入りに耳を傾けると、その表現の幅はモダンピアノよりずっと広いのではないかと感じるほどだ。ノリントン指揮LCPの音も、広がりと深さを感じさせる好録音も手伝って、この曲の魅力を十二分に伝えている。
このコンビによる第3番と第4番の音源。第4番は33分15秒過ぎから。音質はオリジナルCDよりかなり劣化している。
メルヴィン・タンによる演奏。ベートーヴェンが使ったというブロードウッド社のフォルテピアノを復元して弾いている。ベートーヴェン晩年の作品、6つのバガテルOp.126から後半の3曲。テレビのドキュメンタリーのようで音質が少々残念。
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