大西順子「楽興の時」



コロナ禍そして公私ともイレギュラーな事情もあって年の瀬感はゼロながら、十二月そして今年もまもなく終わり。何となくホッとしたよな、しないよな…と、ボーッとしながら昼間見かけたポスターで思い出し、今夜はこんな盤を取り出した。


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引退・復活を何度か繰り返したのち現在はまたアクティブに活躍中の大西順子(1967-)。彼女が2010年に復帰を飾ったときのアルバムを取り出した。90年代半ばから人気を博しながら、その絶頂期に突然活動を休止していた大西順子が2009年に11年ぶりに録音した「楽興の時」と題されたアルバム。スタンダードと彼女のオリジナルとがほぼ半数ずつ入っている。手元にある彼女の盤を並べてみたら、90年代に出したアルバムのほとんがあった。彼女が活躍しアルバムを次々にリリースしていた頃、随分入れ込んで聴いていたことを思い出した。それにしても、もう20年以上前にことかと愕然とする。

90年代のアグレッシブでドライブ感にあふれる彼女も実によかったが、このアルバムで聴くやや抑えた表現も味わい深い。シューベルトのピアノ曲「楽興の時」をアルバムタイトルにしていることから、ジャスのクラシカルな味わいを意識しているようにも思う。とはいえ、お馴染みのスタンダードも彼女の手にかかると甘ったるいカクテルピアノに終わらず、脳中枢のあちこちを刺激する音楽に仕上がっていて素晴らしい。一方で90年代の疾走感を期待する向きには食い足らない。一時期の活動休止期間を完全に脱したようで、これからどういう方向へ進むのか楽しみにしたい。


大西順子@2013年。小澤征爾&サイトウキネンとの協演。


1995年人気沸騰のころ。



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Author:マエストロ・与太
ピークを過ぎた中年サラリーマン。真空管アンプで聴く針音混じりの古いアナログ盤、丁寧に淹れた深煎り珈琲、そして自然の恵みの木を材料に、匠の手で作られたギターの暖かい音。以上『お疲れ様三点セット』で仕事の疲れを癒す今日この頃です。

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