訃報 なかにし礼
なかにし礼が亡くなった。82歳だった。合掌。
突然の訃報に朝から愕然とした。せめてもの思いをこめて、以前書いた記事を再掲する。

数年前、発売とほとんど同時に手に入れたCD「なかにし礼と12人の女優たち」を聴いている。彼が手がけたヒット曲を映画・ドラマ・舞台を通じて縁のある女優12人が歌うという企画アルバム。収録曲と歌い手の女優は以下の通り。
01. 常盤貴子 / 恋のフーガ(ザ・ピーナッツ)
02. 水谷八重子 / 時には娼婦のように(黒沢年男)
03. 南野陽子 / 知りたくないの(菅原洋一)
04. 平 淑恵 / 別れの朝(ペドロ&カプリシャス)
05. 浅丘ルリ子 / 愛のさざなみ(島倉千代子)
06. 桃井かおり / グッド・バイ・マイ・ラブ(アン・ルイス)
07. 泉ピン子 / 石狩挽歌(北原ミレイ)
08. 佐久間良子 / リリー・マルレーン(戸川昌子)
09. 高島礼子 / 恋の奴隷(奥村チヨ)
10. 草笛光子 / 行かないで(戸川昌子)
11. 大竹しのぶ / 人形の家(弘田三枝子)
12. 黒柳徹子 / 世界の子供たち(芦野宏)
このリストを見ただけで、還暦男の心は穏やかでなくなるだろう。どうだと言わんばかりの選曲にして人選。まいりましたの一枚だ。彼が手がけた12曲を12人の女優たちが個性豊かに歌う。編曲はいずれも昭和歌謡の王道を逸脱しない範囲で趣味のいいアレンジが施されている。こうして聴くと、当時の昭和歌謡という今となってはノスタルジックに語られる音楽が、実は歌い手の個性をよく表出させる曲そして編曲であったことに気付かされる。
ぼくら、あるいはもう少し上の世代にとって、なかにし礼はちょっとしたブランドだ。生まれ変わったら、なかにし礼的人生を経験してみたいとさえ思う。才能に恵まれ、時流に恵まれ、万事に粋、そして何より女にモテる(ここが重要)。二十代の学生時代からシャンソンの訳詩を手がけ、やがて歌謡曲の作詞家として名を成した。もちろん音楽への愛情も人一倍であったし、クラシック音楽への造形の深さも人後に落ちない。80年代半ばにはN響アワーで、芥川也寸志、木村尚三郎と組んで楽しそうに語り合っていたのを思い出す。
このアルバムがリリースされた数年前、なかにし礼は食道がんが再発したことを告白した。幸いその後回復に向かい、近年再び活動をしていた。 合掌
桃井かおり<グッド・バイ・マイ・ラブ>
水谷八重子<時には娼婦のように>
泉ピン子<石狩挽歌>
N響アワーでの三人衆。今やこんなおしゃべりが楽しめる番組は望むべくもない。
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